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ノーベル生理学医学賞

細胞の巻き戻しがノーベル医学賞に輝いた

研究者たちに成熟細胞の多能状態への再プログラム化についての研究に対して名誉な賞が贈られた

Alison Abbott
08 October 2012


ジョン・ガードン(左)と山中伸弥は細胞を胚のような状態へと再プログラムする方法を示した。J. Player/Rex Features; Aflo/Rex Features

細胞を胚のような状態に再プログラムできるという発見が、ジョン・ガードンと山中伸弥という胚細胞研究の二人の導灯に対する、今年のノーベル生理学医学賞に輝いた。

再プログラムされた細胞は多能性、すなわち多くの成熟細胞タイプへと分化する能力を、再獲得する。多くの研究者たちはこの方法で作られた細胞が、将来再生医療に使われ、傷ついたり病気になった器官への移植組織に使われることを期待している。再生医療は生物学で最も熱い分野の一つになっているが、受賞者たちの発見がなされたときに論争がなかったわけではない。

ガードン研究所(英国ケンブリッジ)を拠点としているガードンは、50年前に発表された研究の中で、細胞が再プログラムされうることを立証した最初の人物だった。当時、科学者たちは細胞の特殊化は一方通行の過程であり、逆は不可能だと考えていた。ガードンはカエルの卵細胞から核を取り除き、それをオタマジャクシの消化管の細胞からの核に置き換えることで、そのドグマをひっくり返した。驚いたことに、この過程は入れ替わった核の細胞時計を遡らせることができた。その細胞はすでに特殊化を完遂していたにもかかわらず、卵細胞の中で卵の核のように振る舞い、正常なオタマジャクシの発生を導いた。

ガードンはこの研究をしたとき、オックスフォード大学(英国)の院生だった。1960年に博士号を受けると、ヨーロッパに自分のカエルを残して、カリフォルニア工科大学(パサデナ)でのポスドクとなった。PhDを得て2年後、カエルが健康に成熟したことを確かめるて、やっと彼はこの研究を発表した。「私は[既存の]知識に真っ向から挑む院生だった」と彼は話す。「疑う者がたくさんいた」。

哺乳類細胞で、核移植によるクローンと呼ばれるこの過程が起こりうるということは、カエル細胞のようには立証されなかった。それが立証されたのは、最初にクローンが作られた動物(ヒツジのドリー)が生まれた1996年で、35年近くもかかった。ドリーは277試行中で唯一の生きて生まれた例であり、哺乳類クローン作成は運任せのままだった。

科学者たちはこのシステムの効率を上げ、関与する正確な分子プロセスを理解したいと渇望していた。そこが京都大学(日本)の山中伸弥が研究をなしたところだ。山中(彼はガードンが創始論文を発表した年に生まれた)はマウス細胞を培養して胚細胞を未成熟なままに保つ遺伝子を特定した。それからこれらの遺伝子のうちどの遺伝子が成熟細胞を多能になるように再プログラムできるのかをテストした。

2000年代中頃、幹細胞コミュニティは山中があと一歩まで来ていたことを知っていた。「2006年のキーストーン・シンポジウムで彼がデータを発表したときを思い出す」とブリュッセル自由大学の幹細胞生物学者、セドリック・ブランパンは話す。「あのとき彼はそれらの名前を明かさなくて、みんながそれらの魔法の因子が何であるか予想し合ってた」。

数ヶ月後、2006年国際幹細胞学会(カナダ、トロント)の会議の出席者たちは、山中の講義に詰めかけた。聴衆が静かに待つなかで彼が発表したのは、驚くほど単純なレシピだった。たった4つの遺伝子を活性化することで、繊維芽細胞と呼ばれる成体細胞を多能性幹細胞へと戻すのに十分だった。その人工多能性幹(iPS)細胞は神経細胞や心臓細胞を含む、異なった成熟細胞のタイプへと誘導することができた。

ガードンは来年80歳になるが、ラボでカエルで再プログラムの分子的基礎についての研究を続けている。彼の髪はだらりと垂れたモップのようで、皮肉っぽいユーモアのセンスを持っている。彼は研究仲間たちに典型的な英国紳士と見られていて、自分の研究所を親しみ深い流儀で運営している。ガードンは自分の名前にちなんだ研究室を持つ栄誉(以前は英国ウェルカム・トラスト癌研究所という名前だった)は普通は死んだ後に与えられるものだと話すことがあり、そんなとき研究仲間たちは笑うしかない。「ジョンは本当に活動的な現役科学者だ」と研究所の主任研究員のアジム・スラニは話す。

山中は50歳になったばかりであり、同じぐらい研究仲間たちに尊敬されている。山中はオシャレで誠実で几帳面だと言われている。ストックホルムにあるノーベル財団とのインタビューのなかで、受賞を伝える電話があったとき、家を掃除している最中だったと彼は話した。山中の研究は日本政府からの大きな支援を得てきた。政府は京都大学にある彼のための大きな研究センターに資金を出し、医療用の幹細胞バンクを支援することに合意している。山中は外科医としてキャリアを始めたが、「私にはその才能がなかった。だから臨床から研究室へとキャリアを変えようと決めた」とノーベル財団とのインタビューで語った。「でも私は今でも自分は医師だと思っていて、人生のゴールは幹細胞技術を臨床にもたらすことだ」。

2人の科学者は自分たちの研究を再生医療へと移すことが、ゆっくりと進んでいくことを分かっている。「それが基礎科学を支援することが大切な理由だ――治療上の利益が最初の発見から極めて長い時間を経たあとに得られることはよくある」、とガードンはノーベル財団に語った。

Nature News
Cell rewind wins medicine Nobel
Alison Abbott, 08 October 2012
Nature 490, 151–152 (08 October 2012) doi:10.1038/490151a
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