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ヒト進化で分子時計は正確?

時計の針を戻す:先史時代のペースを遅くする

Ann Gibbons

新しい研究によって人類における変異の発生はこれまでの考えより遅いことが分かり、進化イベントのタイムテーブルについて問題が生じている


CREDITS (LEFT TO RIGHT): CHRIS DASCHER/ISTOCK PHOTO; ©PUBLIPHOTO/PHOTO RESEARCHERS, INC.; ALAN LESHNER/AAAS; ANDY DEAN PHOTOGRAPHY/ISTOCKPHOTO

タイミングがすべてだ――とくに人類進化では。過去45年間、研究者たちは分子時計のようなDNAに生じる変異の数を使って、何百万年も前の人類の曙や過去100,000年にあった現生人類の出アフリカなどの、人類の進化ストーリーの重要な章の年代を決めてきた。

いまでは分子時計の刻みは誰が考えていたのより遅いと思われ、多くの年代に調整が必要だろう。過去3年間に、研究者たちはヒトゲノムの全配列を解読する新しい手法を使って、新しい変異が新生児に起こる平均の率を、はじめて直接計測することができた。これらの研究のほとんどは、現在の人類における変異率は、2000年以来多くの進化学的研究に用いられてきた率のおよそ半分であると結論している。「全体として、これらの論文は人類の配列変異率が以前使われていた数字よりも大いに小さいことの確かな証拠となっている」とハーヴァード大学の集団遺伝学者、デイヴィッド・ライヒ(David Reich)は話す。彼は最近の研究の一つの共著者である。「その結果、古代イベントの遺伝学的推定年代は以前の報告より古くなっていっている」

ではどのぐらい古くなるのだろうか?3つの新しい研究が答えを出そうとして、人類進化の主要イベントに遅くなった変異率を当てはめてみた。この1ヶ月間に、彼らが発表した一連の年代は化石記録による証拠と合うこともあれば、外れることもあった――とくに過去に大きくさかのぼるイベントでは。一部の研究者たちは分子時計が霊長類のあいだで一定の時間を保っておらず、何百万年ものうちに遅くなってきたことを示している。これはその変異率に頼ってヒトと霊長類の遺伝病や進化を研究している研究者たちを困惑させている。

「変異率は霧散した」とマックス・プランク進化人類学研究所(独、ライプツィヒ)の古遺伝学者スヴァンテ・ペーボ(Svante Pääbo)は8月に話した。彼のチームが、我々の祖先がネアンデルタール人とその近縁のデニソワ人から分岐した年代に大きなマージンの誤差――170,000から700,000年前――を発表した時の話だ。その結果、人類起源にあった一部のイベントの時期が今では「非常に曖昧模糊」としている、と自然史博物館(ロンドン)の古人類学者、クリス・ストリンガー(Chris Stringer)は話す。変異率にある曖昧性は進化学的および病気に関連した分析をする者に影響がある、とウィスコンシン大学(マディソン)の古人類学者、ジョン・ホークス(John Hawks)は話す。「我々は物事がいつ起こったのか分からなければそれがどのように起こったのか解明できない」

化石時間

過去15年間、研究者たちは分子時計の速度を見積もるのに、DNAの対応領域にあるヒトと霊長類の間の変異による差分を数えてきた。そして異なった種が化石記録の中に最初に出現した時期を使って、それらの変異が蓄積するのにかかった時間を推測してきた。たとえば、知られている最古のオランウータンの祖先の化石は約1300万年前であるため、ヒトとオランウータンの間のDNAの差分にはその長さのぶんの集積がある。さまざまな霊長類のDNAの多くの領域で同様の計算をして、研究者たちはヒトと他の霊長類の平均の率を毎年およそ10億塩基対に1つの変異と算出した。

この率を方程式に挿入すると、多く研究者たちがヒトとチンプの祖先の間の分岐に400万年前から600万年前までの間の年代を得た。それは知られている最古のヒト族動物(ヒト科のメンバー)と同定された化石とぴったり合った。この化石は、600万から700万年前に生息していた、サヘラントロプス(Sahelanthropus)、600万年前に生息していたオルロリン(Orrorin)、および440万から580万年前に生息していたアルディピテクス(Ardipithecus)のことである(Science, 15 February 2002, p.1214)。

この率が広く受け入れられるとともに、研究者たちはそれを使って、最初に現生人類がアフリカ外に移住した時期――70,000年以内前――や、ネアンデルタール人とデニソワ人が分かれた時期などのマイルストーンの年代を決めた。

しかしこの変異率を計算する手法には欠点がある。そもそも、化石年代がある種の最初の出現を正確に記録していると想定されるが、それは新しい発見とともに変わりうる。第二に、我々にもっとも近縁な現生の類縁、すなわちチンプとゴリラの化石は見つかっていない。第三に、この手法は種分化がそれらの遺伝子の分岐と同時に起こると想定するが、
実際は、遺伝的隔離は種分化より何百万年も早く起こりうる。最後に、この手法は変異率が霊長類のあいだで似た数字だと想定しているが、世代間隔――世代間の平均時間――などの要素がこの率に影響する。

何かがおかしいという最初の兆候は2003年にやってきた。この年、血友病、筋ジストロフィ、および他の病気を引き起こす遺伝子を両親と子供で追跡する研究が変異率が予想より遅いことを見いだした。

最近の高スループットの配列解読手法の発展とともに、遺伝学者たちはついに、多数の家族で両親とその子供からなるトリオの間にある変異の数を直接算出するのに十分なゲノム全体を解読することができるようになった。ウェルカム・トラスト・サンガー研究所(英、ヒンクストン)の2人の遺伝学者、エイルウィン・スカリー(Aylwyn Scally)とリチャード・ダービン(Richard Durbin)によって9月11日にNature Reviews Genetics誌にオンラインで発表された総説論文によると、過去3年間の8つの研究(および2003年の研究)はより遅い変異率を見積もっている。8月にあったアイスランドの両親と子供による78組のトリオにおける変異率を測定したものなどの、いくつかの研究は完全なゲノムを解読した。他の論文は、14,000人の患者の遺伝子を解読した一つの研究を含め、病原遺伝子の変異率を報告している。

アイスランドの研究は平均で、すべての新生児に36ヶ所の、どちらの両親からも受け継いでいない、自然な新変異があることを見いだした。これらの率、いわゆる新規変異はゲノムの中にある30億塩基対のうち至極小さな比率であるが、これこそがヒトにおけるすべての多様性のもとになるものだ。それはすべてのヒトの進化の原材料である――ほとんどの新しい変異は有害だから、良かれ悪しかれ。「ヒトゲノムの多様性はすべて元をたどれば新規変異だった」とデコード・ジェネティックス社(レイキャヴィク)の遺伝学者、カウリ・ステファンソン(Kári Stefánsson)は話す。彼はアイスランド人についての2つの新しい研究の共著者だ。「我々はこれらの新変異を通して進化してきた」

注目すべきことにすべての研究が、任意の塩基部位で世代あたり1.2×10-8変異という、およそ同じ率を得た。それはおよそ年に部位あたり24億分の1変異(29年の世代間隔を仮定する)に相当し――古い、化石でカリブレートした率の半分以下だ。「それはじつに良いように見える。すべての研究が、多数の個人を平均すると、同じ方向を指し示している」とインディアナ大学(ブルーミントン)の進化生物学者、マイケル・リンチ(Michael Lynch)は話す。彼は変異率についての研究の1つの共著者だ。

遺伝学者たちは平均の率が分かれば、自閉症、統合失調症、あるいは前立腺癌といった増えつつある病気に一役買っている遺伝子が増えているかどうかを計測することができる、とステファンソンは話す。そして彼らはどの因子がこれらの遺伝子の率を変えているのかを解きほぐしはじめることができる。


シンクロニシティーの追求。新しい、より遅い変異率を使って算出された年代の一部は化石に合うが、一部は合わない。

時を押し戻す

刻みが遅い分子時計は進化にも大きく関連を持つ。たとえば、遅い時計は現生人類とネアンデルタール人の祖先が分岐したのは約400,000から600,000年前であり、272,000から435,000年前ではないことを示す。これは350,000から600,000年前までのあいだの年代のホモ・ヘイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)の化石のとよく合い、彼らはネアンデルタール人の祖先系統だと考えられている。スカリーとダービンは現生人類の進化の年代も改訂した。たとえば、劇的な人口ボトルネックのタイミングを100,000から120,000年前(60,000から80,000年前でなく)に、人類のアフリカ外の出現を90,000から130,000年前(70,000年前以内でなく)へと押し戻した。

中東と北米の100,000年以上前の化石と石器を研究する研究者たちはこれが、この地域・年代の古代人が失敗した出アフリカだったのではなく現生人類の祖先系統だったという可能性を一気に高めたと話す。しかし約70,000から75,000年前にあった巨大な火山噴火などのイベントに人口ボトルネックや出アフリカ移住を結びつけてきた他の研究者たちはあまり歓迎していないように思われる。「一部の人たちはこれらの率でハッピーになるが、他の人たちはそうならない」とホークスは話す。

時間をもう少しさかのぼると、化石との合致はぎくしゃくしてくる。たとえば、ネアンデルタール人の年代はストリンガーにとって早すぎるように思える。「明らかなネアンデルタール人の特徴は約400,000年前より前にはおそらくない――さかのぼってもせいぜい50,000年前だ」と彼は話す。「だから、私はまだ[ネアンデルタール人と現生人類の起源の年代の]大改訂への大義名分を見いだしていない」

おまけに、新しい率は類人猿における進化ペースをまったくのノロノロにしてしまう(表参照)。たとえば、ヒトとチンパンジーの分岐は830万年前と1010万年前の間にされる――現在の化石年代を考えると、早すぎる。オランウータンと、ヒトを含めたアフリカ類人猿へとつながる系統の分岐は、3400万から4600万年前までさかのぼる、とライヒは話す。「4000万年前のヒト-オランウータン分岐というのは完全におかしい」とトロント大学(カナダ、セントジョージ)の古人類学者、デイヴィド・ビガン(David Begun)は話す。彼はオランウータンの祖先と思われる化石の年代が900万から1390万年前までであることを指摘する。

これらの問題を認識して、スカリーとダービンは修正を提案している。彼らは変異率は霊長類進化の初期には速く、次いでアフリカ類人猿で遅くなり、そしてたぶん人類進化にてもっと遅くなったという30年前に出された考え方――いわゆるホミノイド・スロウダウン――に賛成する。この考え方はさまざまな哺乳類で体サイズがより大きくなるとともに、その世代間隔はより長くなり、年あたりの変異率も遅くなっているという証拠に裏打ちされる、とスカリーは話す。それは化石とスカリーの年代の間により良い合致を導く興味をそそる考え方だ。「ある種のスロウダウンが類人猿に確かに起こった」とライヒは話す。しかし彼は「これらの年代を調和させるのに必要なスロウダウンの大きさが極端である」ことに注意する。

実際に、別の研究が最近体の巨大化と世代間隔の延長との間のつながりに取り組んだ。アフリカの野生にある226体のチンパンジーと105体のゴリラが生まれたときの両親の年齢を記録する何十年にもわたる研究の後に、マックス・プランク進化人類学研究所(独、ライプツィヒ)のリンダ・ヴィジラント(Linda Vigilant)らの国際チームは8月にゴリラの世代間隔(約19年)がそのより小さな類縁より短いことを報告した。ヒトとチンプの世代間隔はそれぞれ平均で約29年(より年齢の高い父親のおかげ)と25年である。

ヴィジラントのチーム(研究はProceedings of the National Academy of Sciences誌に発表された)はさらに歩を進めて、彼女らの新しい世代間隔を新しい、より遅い変異率と掛けて、進化におけるイベントの年代を計算した。彼女らの結果はヒト-チンプ分岐も700万年前から1300万年前までに押し戻し、これは最古の化石にぴったり合う、とヴィジラントは話す。しかしこれらの年代は世代間隔が何百万年にもわたって変化しないと仮定している。「大きな問題は、過去の世代間隔がどれぐらいだったかだ」とヴィジラントは話す。

一方で、ライヒは違う手法を使って中間の率を得たまた別の研究の共著者だ。彼によると新しい手法がすべての変異を拾い上げていなくて、そのせいで人為的に遅い率が得られている可能性があるという。そのため彼、ステファンソン、およびマサチューセッツ工科大学(ケンブリッジ)の院生、ジェイムズ・サン(James Sun)はアイスランドにいる85,000人における2500ヶ所のマイクロサテライト(繰り返す回数がさまざまなDNAの小さな欠片)の変異率を分析した。マイクロサテライトはDNA塩基より高い変異率を持つため、すべての新しい変異を検知するのがより簡単だ。チームはマイクロサテライトの変異率を塩基対変異率へと変換する方法を示し、彼らの推定によるとそれは年あたり12億分の1から20億分の1だった。

それは化石にもよく合い、ヒトとチンパンジーの間の分岐は約370万から660万年前となった。だが、これは別の種類の問題を生み出した。600万から700万年前のサヘラントロプスなどの、ヒトの家族の最初期のメンバーを競っている最古の化石は、ヒト族動物であるには古すぎるように思われる。研究者が直接変異率をどのように計算するかにかかわらず、それらはすべての化石の年代を調停できない。


時間ぴったり?異なった変異率はこの600万から700万年前のサヘラントロプスの化石をヒトの祖先であるには新しすぎたり、古すぎたり、またはぴったり正しい年代だとしている。
CREDIT: DIDIER DESCOUENS/WIKIMEDIA COMMONS


率の補正

すべてのこれらの複雑にする要素は研究者たちは変異率を変化させるのが何で、どれぐらいなのかを探求している途上であることを示す。さらに別のねじれは妊娠時の父親の年齢である。アイスランドにおける78組の両親と子供のトリオについての記念碑的研究で、ステファンソンと、同じくデコード・ジェネティクス社のオーガスティン・コングは、高齢の父親ほど多くの変異が彼らの子供に伝えられることを見いだした。複製ミスは男性の一生にわたって精子をつくるために年を取ったDNAがコピーされるたびに起こるからだ。(母親は高齢でも多くの変異を伝えない。なぜなら卵は生まれるまでにすべて作られるからだ。)この影響は大きく、父親の年齢の年あたり2つのさらなる変異が引き起こされる。これは、8月にあったNature誌の報告によると、36歳の父親が20歳の父親より2倍の変異を伝えることを意味する。そのため父親の平均年齢の上昇は分子時計を早めることになる。「このようにさかのぼって外挿するのは難しい」とステファンソンは話す。「欠陥がある推測になることは認めないといけない」

他の研究者たちは平均よりはるかに上だったり下だったりする率を持つゲノムの部分を研究することによって何が変異率に影響するのかを探求しようと試みている。「DNAがゲノムの一つ部分から別のものへと進化する率にはたくさんの変異性がある」とカリフォルニア大学サンフランシスコ校の遺伝学者、キャサリン・ポラード(Katherine Pollard)は話す。ただし彼女はそのようなホットスポットはチンプとヒトのゲノムの非常に少ないパーセンテージしかないためそれらは平均変異率には影響しないことをつけ加えた。

そして近日発表される論文の中で、リンチと彼の共同研究者たちは細菌、酵母、植物、およびショウジョウバエなどのモデル生物において大きなゲノムと大きな個体数は、ともに変異率を遅くすることを示す。これは変異率がヒトと類人猿で一定であったと想定することに危険があることを裏づける。膨大な時間のなかで何がこの時計を速くしたり遅くしたりするのかについてあまりに少しのことしか分かっていないからだ。現生人類がアフリカ外にはびこる前に繁殖する成人の数を10,000人まで減少させたボトルネックはこの率を速くしたと推測される、とリンチは話す。しかしそれなら農耕の発明の後の現生人類の人口の急速な拡大はこの率を遅くしたのだろうか?変異率を類人猿にわたって外挿することについてより確かにするには、研究者たちは、ヒトで行ったように、チンプとゴリラの両親と子供における変異率を直接計算する必要がある、とリンチは話す。しかしその研究が行われても、これらの小さな、絶滅の危機にある類人猿の個体数における現代の率はより大きな祖先の個体数におけるそれより速い数字だろう。

したがって、遺伝学者たちと古生物学者たちの両方が現在のヒトの変異率が以前考えられていたのより遅いという事実に同調するけれども、それがどのぐらい遅いのか、そしてそれらが我々の過去のイベントのタイミングにとってどのような意味を持つかは不明瞭なままだ。今のところ、「問題は残されたままだ――変化率の本当の値が何であるか」とライヒは話す。そして「進化学的分析をするには、我々の時計を適切にカリブレートしたい」

Science, NEWS FOCUS
Turning Back the Clock: Slowing the Pace of Prehistory
Ann Gibbons
Science 12 October 2012: Vol. 338 no. 6104 pp. 189-191, DOI: 10.1126/science.338.6104.189
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