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ハリケーンサンディと温暖化

ハリケーンは米国を気候-適応策の議論へと掃き寄せた



マンハッタンの洪水はニューヨークを守るための巨大工学プロジェクトをすべきだという主張を後押しする。

Jeff Tollefson
06 November 2012


ブルックリンにあるマンハッタン・ブリッジ下の洪水した道は破壊的嵐の押し寄せに対するニューヨークの脆弱性が増していることの一例である。
B. Matthews/AP


ハリケーン・サンディによる高さ4.2メートルの塩水の壁が10月29日の午後にニューヨーク市の心臓と周囲の沿岸に押し寄せたとき、科学者と技術者は10年以上にわたって作ってきた悪夢のような高潮の影響予測のチェックリストを調べた。低地地域の破局的な洪水?チェック。ロウアー・マンハッタンにあるトンネルと地下鉄路線の水没?チェック。変電所の損傷と広域停電?チェック。

「我々の予測のすべてが現実のものとなった」とマルカム・ボウマン(Malcolm Bowman)は話す。彼はストーニー・ブルック大学(ニューヨーク州)の高潮モデリングの専門家だ。ボウマンはニューヨーク州の周りに高潮堤防を構築すべきだと10年以上にわたって主張してきた。サンディの到来は現在の政策がひどく不十分であることの痛ましい証拠となった、とボウマンは話す。

一夜にして、巨大な嵐は世界の主要な経済・産業の中心地の一つを麻痺させる一撃を加えた。何千棟もの家屋を壊し、人々を電力や食料、水、ガソリンへの信頼できるアクセスなしの状態にした。一週間経っても、郊外はまだ危機にあった。2005年のハリケーン・カトリーナのように、サンディはすぐに地球温暖化の漠とした恐れを体現したものとなった。それは、ニューヨーク州や他の沿岸地域が未来の海水準上昇とより不安定な気候に備えるにはどうするのがいちばん良いかについての議論が再び流行している最中のことだった。そして長く激しい大統領選挙戦を通して両政党がほとんど無視してきたトピックが選挙のほんの数日前に突然主舞台に上がった。

大気の温暖化と海水準の上昇は米国東海岸により大きな頻度で大型の嵐をもたらすだろう、という気象学者たちの予測を反省し、この地域の政治リーダーたちは長期的な脅威についての警告を喚起した。10月31日、ニューヨーク州知事アンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)は「我々の建造環境の根本的再考」を呼びかけた。その翌日、ニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)は、共和党の挑戦者のミット・ロムニー(Mitt Romney)でなくバラク・オバマ(Barack Obama)大統領を支持するという驚きの発表をしたときに暴風雨に言及した。ブルームバーグは以前は両候補に失望を表明していたが、今では石炭発電所への規制を強め、自動車への燃費基準を高めて炭素放出を減らすオバマの努力を称賛した。彼はマサチューセッツ州知事時代の地域的キャップ・アンド・トレード制度の発展におけるロムニーの役割も称賛した。しかし続けて彼が大統領選運動の中で気候問題についての方向性を逆転させたことについて批難した。「大統領には選挙政治より科学的な証拠と危機管理を優先してほしい」とブルームバーグは書いた。

サンディは東海岸沿いの平均よりおよそ3℃高い表水からエネルギーを得た。合理的にはそのうちに少しの部分だけ――およそ0.6℃――が地球温暖化のせいにできる。しかしたとえ科学者たちがどんな気象イベントも地球温暖化のせいにしたがらなくとも、ハリケーンは明らかに勢力を増していて「それは過去20年間続いている」と、マサチューセッツ工科大学(MIT、ケンブリッジ)のハリケーン専門家、ケリー・エマニュエル(Kerry Emanuel)は話す。

サンディは勢力だけでなくその進路も普通でなかった。年間のこの時期に北上してきた熱帯低気圧は海に抜けることが多い。しかしグリーンランドの南の高気圧系がそれを内陸に押しやり、そこでそれは西からやってきた従来の冬の嵐システムと合体した。

今年2月3月に発表された2つの研究は、北極海の氷消失が増えることによる温暖化が地域的空気循環を変え、ジェット気流をより曲がりくねらせることがあることを示す。研究者たちによると、正味の影響は合衆国、ヨーロッパ、および中国北部にわたって猛烈な冬の嵐や他の極端な気象イベントが起こる可能性が増大することだという。この考えは論争になったままだが、一部の科学者たちは同じ現象がサンディやアイリーンなどのハリケーンの増加を導くことがあるかを知りたいと思った。アイリーンは去年ノースカロライナ州からニューヨーク州までの沿岸を進み、あと少しでサンディのような洪水を起こすところだった。「これらは非常に時期尚早だが、それがとても見込みのある研究の方向だと考えるようになってしまった」とエマニュエルは話す。彼はこれらの研究に関与していない。

先月発表された、1923年までさかのぼる検潮所記録の研究は、寒冷だった時代に比べて温暖な時代は大波イベントの可能性がおおよそ二倍になっていることを見いだした。エマニュエルとMITとプリンストン大学(ニュージャージー州)の他の科学者たちによる2月に発表された研究によると、ニューヨークはとりわけリスクが高い。2100年までに、より強い嵐と1メートルの潜在的な海水準上昇が組み合わさって、この都市に現在1世紀に1回見られる規模の洪水を3-20年ごとに引き起こすと予想される。



今回の嵐により、ブルームバーグが2008年に立ち上げた、ニューヨーク市気候変動パネルをはじめとする公開討論会で温暖化適応策の議論の緊急度が高まっている。ボウマンらは、ロンドン、オランダ、そして最近ではロシアのサンクトペテルブルクに構築されてるものと同様の、防潮壁や防潮堤のシステムを主張してきた。「我々が地域的防潮堤システムを実施していたら、[ニューヨーク港に]大きなダメージはなかっただろう」と彼は話す。

ボウマンらが思い描くシステムでは、ニュ-ヨーク港の入口に開閉可能な高さおよそ6メートルで幅8キロメートルの防潮水門、そしてロングアイランド湾の入口に第二の防壁を設ける(‘Surge stoppers’参照)。彼は費用をおよそ150億ドルと見積もっており、これは2005年にニューオーリンズの周りに高潮防壁システムを構築するのに議会がアメリカ陸軍工兵司令部に割り当てたのとだいたい同じ量である。サンディが起こしたダメージは300億から500億ドルと見積もられている。

一部の科学者たちは防潮壁だけに単一集中するのは逆効果になりうると心配する。川の水の流出を阻害し堆積作用を増やすことによって、そのような防壁は生態系を変えてしまう。そして防壁に逸らされた高潮は、ブルックリン区南部にあるジャメイカ湾などの、防護されていない地域での洪水を悪化させるだろう。そのうえ、防潮壁は内陸の洪水を生じさせる猛烈な豪雨に対しては守ってくれない。

「サンディは我々が防壁の研究をいましなくてはならないことをはっきりと示す」とニューヨーク気候パネルの共同議長でNASAゴダード宇宙科学研究所(ニューヨーク)の上級科学者であるシンシア・ローゼンツワイグ(Cynthia Rosenzweig)は話す。「だが我々は統合的・全体的な解決策を考える必要があり、ぜんぶを防壁につぎ込むべきではないと思う」

ニューヨーク市は気候変動の予測される影響に対してより強靱にする2007年に作成された広い計画をすでに実施し始めている。この計画は、電力設備を地下から移動し、ときどき起こる洪水に耐えられる新しい都市海岸設計を採用するものだ。これらの努力が先週の嵐の衝撃を減らすのにどれぐらい役立ったかははっきりしないままだ。しかし市と地域が数日か数週間のうちに基本サービスを復旧したら、科学者と政府当局はいかなる再建築も地球温暖化の長期的視点に立ってなされることを確実にしなくてはいけない、とローゼンツワイグは話す。

「我々はしばらくはこの規模の嵐を見ることはないだろうが、市の温暖化適応策のプロセスは前進し続けないといけない」とローゼンツワイグは続ける。

Nature News
Hurricane sweeps US into climate-adaptation debate
Jeff Tollefson, 06 November 2012
Nature 491, 167–168 (08 November 2012) doi:10.1038/491167a
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