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ブタは2回家畜化された

ブタ遺伝学者たちはブタのすべてをやり遂げた



ゲノムは畜産農家と医学研究者の役に立つだろう

Alison Abbott
14 November 2012


T・J・タバスコ、今回の主役。
Lawrence Schook


T・J・タバスコ(T. J. Tabasco)はイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のちょっとしたブタ女神だ。彼女の赤い毛をした剥製の頭部は、遺伝学者ローレンス・シュック(Lawrence Schook)のオフィスの壁から見下ろしている。彼女は今週号のNature誌で不朽のものとなった――名前でなく、DNAの塩基配列によって。

科学者たちはヨダレが出るほど欲しがっている。過去20年にわたって、彼らはブタゲノムからの情報をゆっくりとすき取ってきた。そして、それをより健康で肉付きの良いブタの育種と、ヒト疾患のより忠実なモデルを作る試みのために応用してきた。今週発表されたT・Jのゲノムの詳しい注釈つきのドラフト配列――「リファレンスゲノム」――は、両側面での進歩を早めるだろう。もしかすると、ヒト患者への移植用の器官を提供するブタの設計さえできるようになるかもしれない。「とくに農業にはすぐに役立つだろう」と、論文の筆頭著者たちの一人で、ロスリン研究所(英国エディンバラ)のアラン・アーチボルド(Alan Archibald)は話す。「養豚産業には新しい技術と知識を素早く採用する素晴らしい実績がある」

T・Jはデュロック種の家畜ブタ(Sus scrofa domesticus)で、2001年にイリノイ州で生まれた。次の年、シュックと彼の共同研究者たちは、彼女の耳の皮膚の小さな欠片から繊維芽細胞株を作り、それからクローンを作ることを委任した。そのため、彼らはみな同じゲノムで動物研究をできた。1セットのクローンは国立ブタ資源研究センター(NSRRC、ミズーリ州コロンビア)で作られた。それとともにヒト疾患を模倣するように遺伝子を加えたり除いたりした遺伝工学ブタも作られた。「そのようなブタを作ることは、ゲノムの知識が増えるとともにどんどん簡単になってきている」とNSRRCの共同主任の生理学者、ランドル・プラザー(Randall Prather)は話す。このセンターは国立衛生研究所(NIE)の資金を受けている。

NIHはNSRRCを2003年に立ち上げ、ブタ疾患モデルの調査を奨励した。ブタは齧歯類より飼うのに費用がかかり、繁殖もゆっくりだ。だがブタとヒトの間の解剖学および生理学の類似は欠点を打ち負かせるものだ。たとえば、彼らの目は似た大きさで、網膜における光受容体の分布も似ている。そのためブタは、失明の原因である、網膜色素変性症の最初のモデル動物になった。そして4年前、研究者たちは嚢胞性線維症のブタモデルを作った。それはマウスモデルと違って、ヒトで出るのと類似する症状を現した。

ルートヴィヒ=マクシミリアン大学(ドイツ、ミュンヘン)の遺伝学者で獣医の、エッカート・ヴォルフ(Eckhard Wolf)はヒトとブタの胃腸管系および代謝の間の類似性を利用して――我々同様、ブタはほとんどなんでも食べて、それによって苦しむ――、糖尿病のモデルを確立した。一つのブタモデルは、通常のインスリン分泌に必要なホルモンである、インクレティンの効果を制限する変異トランスジーンを持つ。このトランスジーンを持つマウスは意外なほど深刻な糖尿病を現すが、このブタはより微妙な先糖尿病状態で、ヒト糖尿病により良いモデルになる。「これは適切な生理学を持つ動物を使う重要性を示す」とヴォルフは話す。

ブタモデルは今では、アルツハイマー病、癌および筋ジストロフィーを含む、他の共通症状でも確立されている。この研究はヒト疾患に関わると思われる112の変動体の発見によって価値が高まるだろう、とゲノム論文は報告した。ゲノムの知識は科学者たちが、ヒト患者のための心臓や肝臓などの器官の移植源にできる遺伝工学ブタを作る試みをできるようにもする。ブタの器官は大きさがだいたい合っていて、研究者たちは移植が拒絶されないように受容者の免疫系を欺く遺伝子を持つトランスジェニックブタを作りたいと願っている。

農場に戻ると、ブタゲノムについての初期知識は、1991年の豚ストレス症候群にかかわる遺伝子の発見につながった。この疾患では、過熱状態、移動、あるいはセックスをするストレスが動物を突然の死に至らしめる。それ以来、この遺伝子の検査をして遺伝子を持たないブタ家畜を選ぶことができるようになった。

完全なゲノムを持つことは、研究者がブタ繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)への感受性を除去した血統を育てる助けにもなるはずだ。この疾患は米国の養豚産業に毎年6億ドルを費やさせているウイルス病だ。米国の研究グループである、PRRS宿主遺伝学コンソーシアムは、感染中に血中のウイルスのレベルに影響する一本の染色体上の領域を決定している。PRRSで研究するアーチボルドは、高品質のゲノム配列は研究者が原因遺伝子に照準を合わせるのに役立つはずだと話す。

しかしブタゲノムは応用だけのものではない。筆頭共著者のワーヘニンゲン大学(オランダ)のゲノム研究者、マルティーン・グルーネン(Martien Groenen)は何十もの異なった血統の野生および家畜ブタのゲノムを解読し、その情報を使ってブタがアジアとヨーロッパで独立に家畜化されたことを示している。彼は異なった大陸でどの遺伝子が望ましい特性――ベーコンを増やすより長い脊柱など――の選択に関わったのかを解き明かし始めてもいる。「それは好奇心に駆られる研究だが、将来の動物育種家にも役立つだろう」と彼は話す。

Nature News
Pig geneticists go the whole hog
Alison Abbott, 14 November 2012
Nature 491, 315–316 (15 November 2012)
doi:10.1038/491315a

原論文
Martien A. M. Groenen, et al.
Analyses of pig genomes provide insight into porcine demography and evolution
Nature 491, 393–398 (15 November 2012), Published online 14 November 2012
doi:10.1038/nature11622
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