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中新世の孤立系統哺乳類

121年経って、「墓泥棒」の化石の同定が古生物学上の謎を解いた



化石はラザラス効果の一例だ


中新世の哺乳類ネクロレステス・パタゴネンシスがその巣穴から顔を出している。1600万年前のパタゴニア、現在のアルゼンチンでの光景。ネクロレステスは今では白亜期末に大型恐竜が絶滅したすぐ後に絶滅したと長らく考えられていたグループの一員として認められている。
Credit: Reconstruction by Jorge Gonzalez, copyright Guillermo W. Rougier for PNAS use as needed.


ピッツバーグ、ペンシルヴェニア州...カーネギー自然史博物館の科学者、ジョン・ワイブル(John Wible)らの、研究者の国際チームはネクロレステス・パタゴネンシス(Necrolestes patagonensis)の進化関係を解決した。その名前は「墓泥棒」と翻訳され、その動物の穴掘りと地下生活にちなんでいる。この盛んに議論されてきた南アメリカ産の化石哺乳類は100年以上にわたって古生物学上の謎だった。科学的な忍耐、最近の化石発見、そして比較解剖学的分析によって、研究者たちは奇妙な、上向きの鼻づらと掘るための大きな肢を持つ1600万年前のネクロレステスを、哺乳類の進化ツリーの中に正しく位置づけることができた。この研究結果は予想外なことに、この化石の進化系統の終点を4500万年も前に動かし、この哺乳類の仲間が恐竜時代の終わりを画した絶滅イベントを生き残ったことを示す。これは、ある生物グループがもともとの考えよりも長く生き残っていたことが判明するもの、というラザラス効果(Lazarus effect)の一例だ。ネクロレステスを化石記録の中の類縁の中に位置づけることは一つの長年の疑問に答えるが、別の疑問を生む。それは6500万年前の大絶滅イベントの地球規模の影響について、我々がまだ知らないことがたくさんあることを思い出させてくれるとともに、北アメリカ西部に起こったよく立証された効果が地球規模で起こったという仮定に疑問符をつける。

ネクロレステスの謎を解く科学論文は今日Proceedings of the National Academy of Sciences誌に掲載される。

古生物学上の謎

1981年にパタゴニアで発見されて以来、ネクロレステスは謎だった。「ネクロレステスは教科書に絵と註が載る動物の一つで、註には『何なのか分からない』と書かれている」と共著者のカーネギー自然史博物館の哺乳類学者、ジョン・ワイブルは話す。彼はオーストラリアとアルゼンチンの研究者たちとともに発見チームの一員でもある。ワイブルは、有胎盤類(ヒトなどの胎生の哺乳類)、有袋類(オポッサムなどの袋がある哺乳類)、および卵を産む哺乳類(カモノハシなど)という3つの現生哺乳類グループのあいだの起源と進化関係の研究で知られている。保存が素晴らしいにも関わらず、この謎めいた化石は研究所から研究所、研究者から研究者へと移り、移るたびにネクロレステスの分類は変わっていった。ほんの数年前でも、ネクロレステスはいずれかの哺乳類グループの中に明確に分類することができなかった。2008年の耳領域のCATスキャンにより、別の研究チームはネクロレステスが有袋類だったという仮説を立てた。この分類はワイブルの論文の共著者で、ルイヴィル大学(ケンタッキー州)のギジェルモ・ルージェ(Guillermo Rougier)の興味を引いた。南アメリカ産哺乳類の専門家として、ルージェは有袋類という同定が正しいとは信じられず、彼自身の分類の試みに取りかかった。「このプロジェクトはいささか躊躇するものだった。我々は100年の解釈に逆らわなくてはならなかったからだ」とルージェは認める。さらなる研究のために化石のクリーニングをする間に、ルージェはそれまで記述されたことのなかった頭骨の解剖学的形質を明らかにした。これらの新しく明らかにされた特徴に基づいて、研究チームはネクロレステスが歴史的に結びつけられてきた、有袋類の系統にも有胎盤類の系統にも属さないという画期的な認識にたどりついた。どちらでもなく、ネクロレステスは実際は完全に予想だにしなかった進化ツリーの枝に属していた。それはネクロレステスの時代より4500万年も前に死に絶えたと考えられていたグループだ。

混乱させる解剖学

ネクロレステスの謎の部分は、いつもどの単一の分類にも合わないように見えたた、ミスマッチだと思われる解剖学的特徴だった。その明らかに上向きの鼻づら、頑丈な身体構造、および短く広い脚の骨に基づいて、研究者たちはそれが地下棲――穿孔する、穴掘り哺乳類――に違いないということには賛成していた。穿孔哺乳類は穴掘りとトンネル掘りに特殊化する、広い上腕骨を持つ。ネクロレステスの上腕骨は他のいかなる地下棲哺乳類のものよりも広く、ネクロレステスがとくに掘削に特殊化していたことを示す――もしかすると知られてる他のあらゆる穿孔哺乳類よりも。しかしこの特性は分類には何の貢献もしなかった。ネクロレステスの単純な三角形の歯は地下の無脊椎動物を食べるのに役立った。だが、最近まで、その歯はネクロレステスを分類するのに少しの助けにしかならないと証明されてきた。それが単純すぎて他の哺乳類と明確な類似点を示さないからだ。そこにクロノピオ(Cronopio)が入ってきた。

謎は解かれた

2011年、クロノピオという名の新しく発見された絶滅哺乳類は穿孔する怪動物の謎を解く鍵となった。クロノピオは共著者のルージェによって発見された動物で、南アメリカの後期白亜紀と前期暁新世(1億-6000万年前)に見つかるあまり知られていない絶滅哺乳類のグループ、メリディオレステス目(Meridiolestida)に属する。クロノピオとネクロレステスは著しい類似点があることが分かっただけでなく、両者は単根大臼歯を持つ知られている唯一の哺乳類だ――ほとんどの哺乳類は双根大臼歯を持つ。これはネクロレステスが有袋哺乳類でも有胎盤哺乳類でもなく、実際には4500万年前に絶滅したと考えられたメリディオレステス目の系統の最後に残ったメンバーであことを決定的に示した。

「それらの化石を知らなかったら、ほかの全員と同じ結論に達しただろう――ネクロレステスの類縁関係は不可知だと」とクロノピオについてワイブルは話す。

進化的な示唆

恐竜時代を終わらせた大絶滅は何千もの種を一掃した。クロノピオとネクロレステスが属する哺乳類グループである、メリディオレステス目もこの壊滅に巻き込まれ、その進化系統を切り詰められた――そんなふうに科学者たちは考えた。

ネクロレステスの決定的な同定の前は、メリディオレステス目のメンバーでこの絶滅イベントを生き残ったことが知られていたのは一つだけで、その種もすぐ後の、第三紀(6500-180万年前)の初期に死に絶えた。従って、ネクロレステスは絶滅したと思われていたグループの唯一の生き残りメンバーだ。「それはラザラス効果の極致だ」とワイブルはコメントする。「いったいどうやってこの動物は誰にも知られずにこれだけ長く生き残ったんだろう?」

ラザラス効果では、以前に絶滅したと考えられた種が再発見される――現生で発見されることもあれば、化石記録の他のところで発見されることもある。ラザラス効果の代表的なものにイチョウの木がある。それは17世紀に中国に生えているのが再発見されるまでは絶滅植物だと考えられていた。

研究者たちはネクロレステスの極端な穿孔適応が、その類縁より4500万年も長く生き残ることができた秘訣だと考えている。「南アメリカの第三紀には他に穴を掘り、トンネルを作り、地中で生活するその能力に近づいた哺乳類すらいなかった」。研究者たちは、他の穴掘り種は多くの標本で知られているが、ネクロレステスは狭い地理的領域からの少ない化石でしか知られていないことを指摘する。これは当時にその数が多くなかったことを意味し、周辺環境に存在する生物種のモデルに合致する。「ある意味で、類縁関係はないけれど、それは現在のカモノハシの生き方にいくぶん似ている」とルージェはコメントする。「それは多くなく、オーストラリアにしか見られず、そして現生哺乳類のなかの特定のニッチにしか棲息していない――ネクロレステスも同様に南アメリカにしか見られない離れた系統で、多数の有袋類がいるなかで非常に少ない個体数しかなかった」

将来の調査

ネクロレステスが予想より4500万年も長く生き残ったことは、南アメリカにおける後期白亜紀の絶滅イベントの影響についての一世紀以上にわたる科学的常識に挑戦する。たとえば、古生物学的風景は北アメリカとユーラシアではるかによく理解されているため、それらの大陸での絶滅モデルがすべての大陸に適用されると想定された。「我々はこれ以上は言えない。この話はもっと複雑で、非常に詳細な画像だ。我々は南アメリカにたどりついたばかりだ」とルージェは指摘する。

1998年以来パタゴニアへの調査隊を指揮している、カーネギー博物館の古生物学者、マット・ラマンナ(Matt Lamanna)は、南アメリカが新しい古生物学的発見の温床であることに同意する。「たくさんの我々が白亜紀-第三紀絶滅について知っていると思っていることが北アメリカ西部のみによっている」と彼は確かめる。「世界の他の地域における化石記録が増え続けるにつれ、その絶滅についての我々の理解は疑いなく変わり続けている」

研究チームはネクロレステスとその最も近い知られている類縁との間の4500万年の空隙が埋まり、その知識を白亜紀-第三紀絶滅境界をまたぐ――南アメリカ特有の現象のように思える――他の類縁関係がある種に適用されることを期待している。

Carnegie Museum of Natural History, Press Release (EurekAlert!)
After 121 years, identification of 'grave robber' fossil solves a paleontological enigma
Public release date: 19-Nov-2012

原論文
Guillermo W. Rougier, John R. Wible, Robin M. D. Beck, and Sebastian Apesteguía
The Miocene mammal Necrolestes demonstrates the survival of a Mesozoic nontherian lineage into the late Cenozoic of South America
PNAS November 19, 2012, Published online before print November 19, 2012
doi: 10.1073/pnas.1212997109
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