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指のチューリングパターン

チューリング・パターンが指の形成をなぞる



Gretchen Vogel

1912年にロンドンで生まれたアラン・チューリング(Alan Turing)は今年、世界中の科学者による多数の百周年行事の対象になっている。コンピュータ科学と人工知能の父として知られるこの数学者は、彼の死から50年以上経っても新発見を生み出している。1476ページで、生物学者のチームはチューリングの最後の理論の一つが、体の一部がどのように発生するかを支配するという新しい証拠を提供する。

この新しい研究は哺乳類の肢がどのようにして標準的な5本指を得るのかという謎に関するものだ。肢の発生を支配するひと揃いの遺伝子にはこの領域でもっともよく研究されたものが含まれる。しかし手が5本の指を持つ理由――そしてある変異が5本より多いまたは少ない指を形づくる理由――を説明することは発生生物学者たちを困らせ続けている。


足を露わにする。Gli3遺伝子を欠く発生中のマウスの肢からHox遺伝子を取り除けば除くほど、形成される指が増える。このパターンは数学者アラン・チューリングが発展させたモデルに合致する。
CREDIT: L. QUINTANA, R. SHETH, M. ROS, AND J. SHARPE


答えはチューリングが発展させた一セットの方程式の中にあるようだ。1952年、彼が若くして死ぬ2年前、第二次世界大戦中にドイツのエニグマ暗号の解読を手伝ったこの男は「形態形成の化学的原則」についての論文を発表した。それは空間を拡散する二つの相互作用する化学物質が相互作用する波パターンを形成し、ヒョウのような斑点やシマウマのような縞を作ることを記述した。このパターンは分子がどれだけ速く拡散するか、それらが互いに活性化し合うか阻害し合うか、および他の因子――チューリングの方程式のすべてのパラメータ――に依存する。

この理論は長らく理論生物学者たちを魅了してきたが、実際の発生を研究する生物学者たちのあいだの支持はそれほど受けられなかった。ところが最近、チューリング・メカニズムが羽の成長、毛包、肺の枝分かれパターン、および心臓を胸の左側に寄せる左右非対称性に役割を担っていることが実験によって分かってきている。チューリングのモデルは発生中のマウスの足における指形成を導くパターンも記述するように見える、とカンタブリア大学(スペイン、サンタンデール)のマリア・ロス(María Ros)とモントリオール臨床研究所(カナダ)のマリー・クミタ(Marie Kmita)という2人の発生生物学者、欧州分子生物学研究所ゲノム調節センターの理論生物学者、ジェイムズ・シャープ(James Sharpe)、および共同研究者たちによる新しい研究は結論づけている。この研究は発生学におけるチューリング型のメカニズムにとって大きな前進だ、と名古屋大学(日本)の理論生物学者、近藤滋は話す。とりわけ肢形成は色素パターンや羽芽より発生生物学者たちのあいだで重視されているからだ。

指形成の広く受け入れられているモデルではタンパク質の拡散とシグナリング分子が関与して、発生中の手または足を横切る比較的滑らかな勾配を作る。この勾配には、一部の研究者の主張によると、細胞が軟骨へと凝集して指または趾の始まりを形成するのか、それとも最終的に枯れ落ちて指の間の空間を形成するのかが分かる十分な情報が含まれる。

ロスとクミタはHox遺伝子を研究することによって指形成の過程を調べていた。1995年のノーベル生理学医学賞の対象となったことで、Hox遺伝子ファミリーが胚の頭尾軸パターン形成の制御を助けることは有名だ。以前の研究によって、マウスの足が形成されるときに特定のHox遺伝子がShhおよびGli3と呼ばれる遺伝子と相互作用することと、ShhGli3のどちらかをノックアウトすると指が増える――典型的には7本か8本――ことが示されていた。一つの理論は、それらの遺伝子の除去がHox遺伝子の通常よりたくさんの働きを導いて、多指の足を引き起こすというものだった。ロスとクミタはHox遺伝子の一部の活性を除去すれば指の本数を5本に戻せると考えた。

彼女らが見たものは正反対だった。彼女らがGli3のノックアウトに加えてさまざまなHox遺伝子をノックアウトすると、生まれたマウスはもっとたくさんの指を持っていた。そして取り除くHox遺伝子の数を増やすと、形成される指も増えた。もっとも極端な変異体ではその発生中の足に14本の趾があった。

研究者たちは別の観察に驚いた。取り去るHox遺伝子の数を増やすと、指の本数は増えたが、全体の足のサイズは比較的変わらないままだった。他の実験は指の追加は組織の増加によって起こることを示していた。しかしより細くてより密に並んだ指はHox遺伝子の喪失が指の間の空間を狭くすると考えられることを示していた――チューリングの数学的な言葉では波長。

理論学者たちは何十年にもわたってチューリング型の波動関数が手の指と他の指のパターニングを助けていることを示唆してきた、とシャープは話す。しかし、14本趾のマウスと他のGli3/Hoxノックアウトは遺伝的変調器の最初の例だ――チューリングの理論が手の発生でもうまくいくことを示す証拠の失われた欠片の一つ。

だが、いくつかの重要な欠片がまだ見つかっていない。チューリングのモデルはパターンを形成する2つの拡散し相互作用する分子を必要とし、Hox遺伝子は組織を通して拡散しない。その代わり、シャープによると、それらは他の――まだ謎めいた――因子を制御するに違いないという。その因子がどの細胞が軟骨――最終的に指――を形成しはじめるのかをシグナルする。「Hox遺伝子は肢の発生においてひどく重要なことは知られているが、それらの確かな規則を明示するのはほとんど不可能だった」と彼は話す。「この肢発生の段階では、それらの役割はチューリング・メカニズムを調節することだと思われる」

チューリング「モデルはとてもよく合う」とスイス連邦工科大学ローザンヌ校の発生生物学者、デニ・デュブル(Denis Duboule)は話す。ただし彼はHox遺伝子を増やして形成される指が減る実験を見てみたいとも話す。「次の疑問は、それがどのように働くか?だ」Hox遺伝子は他の遺伝子をオンおよびオフにする転写因子だ、とデュブルは注意する。だから、それらは複数の遺伝子経路に影響する。「まったく、それはとても難しい問題だ」

Science, News & Analysis
Turing Pattern Fingered for Digit Formation
Gretchen Vogel
Science 14 December 2012: Vol. 338 no. 6113 p. 1406
DOI: 10.1126/science.338.6113.1406

原論文
Rushikesh Sheth, Luciano Marcon, M. Félix Bastida, Marisa Junco, Laura Quintana, Randall Dahn, Marie Kmita, James Sharpe and Maria A. Ros
Hox Genes Regulate Digit Patterning by Controlling the Wavelength of a Turing-Type Mechanism
Science 14 December 2012: Vol. 338 no. 6113 pp. 1476-1480
DOI: 10.1126/science.1226804
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