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ネアンデルタール人の離乳

ネアンデルタール人は何歳まで母乳保育したのか?



by Michael Balter on 22 May 2013, 2:00 PM


急速に成長? このネアンデルタール人の子供の歯におけるバリウムレベルは、それが誕生後227日目に部分的に離乳し、435日目に完全に離乳したことを示す。
Credit: Austin et al. Nature (2013)


ほとんどの小児保健の専門家は最低でも6ヶ月の母乳保育が成長する赤ちゃんの福祉に必要なことに賛成する。そういった推奨がどれぐらい実行されているかは世界中で千差万別ではあるが。他の霊長類の母乳保育行動についてはほとんど分かっていない――そして先史時代の人類のそれについてはなおさらだ。一研究チームが、歯における化学的指標を用いて、赤ちゃんがいつ乳離れしたかを正確に検出する新技術を報告した。この手法はネアンデルタール人の子供の歯に適用することに成功した。それによって、研究者たちが我々の進化的いとこの生活史を解読し、彼らがなぜ絶滅したかについての知見を得られる可能性が持ち上がった。

先史人類と他の霊長類の化石は、ほとんどの環境で骨が残らないために、比較的少ない。他方、歯は代々残れるだけの硬さと強さがあり、古生物学産地および考古遺跡でよく見つかる。研究者たちは太古の歯から情報を引き出すために懸命に研究している。古生物学者たちは最近、最初期の類人猿の歯の発見を報告し、考古学者たちは初期農耕民の歯における同位体を使って土地を移る彼らの動きを追跡した。

マウント・サイナイ医科大学アイカーン医学部(ニューヨーク市)の環境保健歯科医師、マニシュ・アローラ(Manish Arora)が率いるチームは、赤ちゃんの成長していく歯におけるバリウムの量から赤ちゃんがいつ乳離れしたかを検出できるのではないか、という仮説を立てた。バリウムはカルシウムに似た元素で、水源と多くのタイプの土壌の中に存在する、と共著者でウェストミード病院(オーストラリア、シドニー近く)の歯学研究者、クリスティン・オースティン(Christine Austin)は説明する。歯が成長するとともに、歯の中心部をつくる象牙質と歯の硬い表面を形づくるエナメル質は両方とも1日ごとの層(日輪)の中に積もっていく。この日輪は顕微鏡下で明瞭に見える。歯は出生前に成長しはじめるが、子供がまだ子宮の中にいるうちは胎盤がほとんどのバリウムをブロックし――カルシウムは通す――、象牙質とエナメル質に届かない。出生後、母乳中のバリウムはより容易に歯に届くようになる。そしてヒトの赤ちゃんが調整粉乳に切り替えられると、ますます多くのバリウムが歯に入る。牛乳をベースにした調整粉乳もダイズがベースのものも母乳より高いレベルのバリウム元素を含むためだ。そして、子供が調整粉乳から固形食へと切り替えるときに、バリウムレベルは下がって元にもどる。

チームはその研究結果を今日、ネイチャー誌(Nature)にオンラインで報告した。彼らは、歯をレーザーでスキャンし象牙質とエナメル質の内側に見られる元素を検出する装置を使って、ヒトの子供の歯におけるバリウムとカルシウムの比の観察から始めた。研究者たちは、小児保健プログラムの一環として母乳保育と調整粉乳の習慣の細かい記録を保管していた、カリフォルニア州モントレー郡の母親たちから提供された25本の子供の歯を分析した。それらの歯のほとんど(全部で22本)が、出生直後に著しく高いバリウムレベルを示した。そしてはじめは母乳保育で次いで調整粉乳を与えられた13人の子供うち9人において、チームは母乳による低いバリウムレベルから調整粉乳の高いバリウムレベルへの推移を観察できた。(チームは母乳保育から固形食へと直接に、調整粉乳の期間なしに移行した子供を区別することもできた――バリウムレベルは移行点で落ちていた。)

研究者たちはカリフォルニア大学デイヴィス校カリフォルニア国立霊長類研究センターの4体の若いマカクザルの大臼歯を観察し、これらの歯の象牙質とエナメル質のバリウム指標を以前に収集された母ザルと子ザルの母乳行動データとの関連を調べた。ここでも、バリウムレベルはこれらのサルの間の母乳保育と離乳行動のすぐあとに続いていて、出生後に上昇して離乳後に低い濃度に落ちていた。

最後に、研究者たちはベルギーのスクラディナ洞窟(Scladina Cave)で以前見つかった100,000年前のネアンデルタール人の子供の大臼歯にこの技術の焦点を当てた。歯のレーザースキャンはバリウムレベルが出生直後に高いレベルで始まり、7ヶ月にわたって高止まりし続けていたことを明らかにした。この期間は母乳のみによる保育だったためだと思われる。それは続く7ヶ月にわたって中ぐらいのレベルまで落ちていて、母乳が他の食料源によって補われていたことを示唆する。だが1.2年後、子供――約8歳で死んだ――は突然に母乳保育から離れ、バリウムは非常に低いレベルに落ちた。(写真参照。)

研究者たちはこの単一サンプルからネアンデルタール人の生活史について、ネアンデルタール人の乳離れが同時代に生息していた現生人類より早かったのか遅かったのか、あるいはいくつかのこれまでの研究が示したように、ネアンデルタール人の子供は成長が早かったのか、などの広範な結論を導くのは不可能だと注意する。これらの問いは、ネアンデルタール人が現生人類との生存競争で落伍した理由に大きな影響があっただろう。しかし新しい技術はやがていくらかの答えをもたらせるだろう、と共著者でハーヴァード大学の人類学者の、ターニャ・スミス(Tanya Smith)は話す。「いまやわれわれは正確で詳細なアプローチを確立したので、さらなる化石を調査してネアンデルタール人がその子供に乳離れさせた年齢を正確に決定したいと思う」

ニューヨーク大学(ニューヨーク市)で古代人類の歯の専門とする人類学者のサラ・ベイリー(Shara Bailey)は、「バリウム手法はまったく新しく、[以前のアプローチより]さらに強力であるように見える」と話す。サンプルサイズが小さいにもかかわらず、「著者たちはこの手法が離乳史を推定するうえでの有用性に強い根拠を提示する」と続けた。オックスフォード大学(英国)の考古学者、ジュリア・リー-ソープ(Julia Lee-Thorp)は子供とサルを使った研究がこの手法の「とても確かな検証」であることに賛成する。だが彼女は子供がその消化管を通して歯の中へと吸収されるバリウムの量が年齢を重ねるとともに減っていき、これが結果を歪めることがありうる、と注意する。

しかしリー-ソープ、ベイリー、および他の研究者たちは1本のネアンデルタール人の歯からの知見、とくにネアンデルタール人が早期に子供を乳離れさせたという結論、を多く読みすぎることのないように注意する。「我々はスクラディナの個体がきわめて早い時期に死んでいて、これが我々の解釈にバイアスを気に留めておかなくてはならない」とベイリーは話す。将来、成体のネアンデルタール人から得られたデータが「ネアンデルタール人が定期的に何を行っていたのかについてのあらゆる仮説にさらなる信用を与える」かもしれない、と彼女は続けた。

自然史博物館(ロンドン)の人類学者で歯の専門家の、ルイーズ・ハンフリー(Louise Humphrey)も
賛成するが、彼女はとスクラディナ・チャイルドの早い乳離れは、現生人類の非産業化社会に典型な
30ヶ月近くよりも1年早いために「興味深い」と話す。
ハンフリーによると、早い乳離れがネアンデルタール人の典型であった場合、それは「速いペースの発達」を
示す他の証拠と一致し、ネアンデルタール人の母親の出産間隔がより短く、より多くの子供を
常時世話していた可能性を高めるという。

元記事
Science NOW
How Long Did Neandertals Breastfeed?
Michael Balter, 22 May 2013

原論文
Christine Austin, Tanya M. Smith, Asa Bradman, Katie Hinde, Renaud Joannes-Boyau, David Bishop, Dominic J. Hare, Philip Doble, Brenda Eskenazi & Manish Arora
Barium distributions in teeth reveal early-life dietary transitions in primates
Nature (2013) doi:10.1038/nature12169, Published online 22 May 2013
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