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ジャガイモ飢饉の原因菌

大飢饉の謎が解かれた



by Ann Gibbons on 21 May 2013, 5:45 PM


ランパー種の葉。胴枯病にかかったジャガイモの葉は、アイルランド飢饉の真っ最中の、1847年に収集された。
Credit: Marco Thines/Senckenberg Gesellschaft für Naturforschung


1845年から1852年までの間の、アイルランドジャガイモ飢饉(大飢饉とも呼ばれる)の間に100万人以上の人々が飢餓と病気で死んだ。これは100万人以上の人々を移住させ、アイルランドのカトリックと、援助を少ししか与えなかったイングランドのプロテスタントの間の緊張を高めた、アイルランドにとって分岐点となった事件だった。すべての被害は、アイルランド人がその増大する人口を養う主要作物として依存していた、ジャガイモの一種――いわゆるアイルランド「ランパー」種――を一掃した、胴枯病によって引き起こされたものだった。

いま、植物標本庫にあるランパー種ジャガイモの葉の押し葉標本から取り出したDNAを使って、国際チームはアイルランドのジャガイモ収穫量を破壊したゲノムの配列を読み、それが菌類類似の病原体、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)の一つの系統――長らく第一容疑者だった胴枯病のありふれた系統ではない――だったことを発見した。科学者たちが押し葉標本から昔の植物の病原体とその植物ホストのゲノムを解読したのは初めてのことだ――さらにチームはそれが消滅した系統であることを見いだした。「絶滅系統がアイルランドとヨーロッパにパンデミックの原因となった」とテュービンゲン大学(ドイツ)の古遺伝学者でオープンアクセス誌、イーライフ誌(eLife)に今日発表された論文の共著者の、ヨハネス・クラウゼ(Johannes Krause)は話す。「我々はそれを、アイルランドから、イングランドから、フランスから、ドイツからの、これらすべての葉に見つけた。一つの系統だった。そして、それは消滅してしまった」

分子生物学者の国際チームは、菌類類似の卵菌類である、P・インフェスタンスの歴史的拡散を追跡した。それはアメリカで出現した。ジャガイモは7000から10,000年前の間に現在のペルーで最初に栽培化された。この作物は16世紀にスペインの探検家たちによって、彼らによるインカ帝国征服のすぐ後に、ヨーロッパへと導入された。それはすぐに重要な主食となり、19世紀のヨーロッパにおける人口ブームで主要な役割を果たした。ところが、ヨーロッパ人はジャガイモをイモの欠片を植えることによって繁殖させた――必然的に少しの多様性だけのクローン群を増やすことになる。その結果、胴枯病がアメリカとブリテンの間を航行する船に乗ってアイルランドに到達したとき、P・インフェスタンスはアイルランド中に急速に拡がり、破滅的な飢饉という結果になった。現在ですら、アイルランドの450万人という人口は飢饉の始まりの頃の4分の3以下しかない。

そのような大惨事を起こした潜在力のため、胴枯病を引き起こしたP・インフェスタンスの特定の系統は大きな関心の対象となってきた。今まで、研究者たちはこの恐しい犯人がUS-1と呼ばれる一つの系統だったと考えていた。US-1は1970年代まで南アメリカとメキシコを除いて世界中でもっともありふれた系統だった。その考えをテストするために、分子生物学者たちは1845年から1896年までの間にヨーロッパ、グレートブリテン、アイルランド、および北アメリカから収集され、バイエルン州立植物標本館(ミュンヘン)とキュー王立植物園の植物標本庫に保管されたジャガイモとトマトの押し葉標本から得られた、P・インフェスタンスの11の昔の系統の進化を追跡した。研究者たちは葉から昔のDNAの断片が得られることを期待していて、病原体の保存状態が良いために昔のDNAから直接配列を読んでそのゲノムを復元することすらできることが分かった。そして、彼らはP・インフェスタンスの昔のDNAを15の現在の病原体の系統のDNAと比較した。

彼らは飢饉の原因となった系統(HERB-1と名付けられた)が19世紀前半に、たぶん米国かメキシコで出現したことが分かった。それは飢饉が始まった後の50年にわたって地球中に拡がったが、20世紀前半までに消滅した。消滅の理由はたぶん農耕民がランパー種を植えるのを止め、ジャガイモに耐性遺伝子を育て始めたためだろう。致命的な飢饉の犯人とされていたUS-1系統は、HERB-1に近縁で同じ個体群から発生した。しかしそれはヨーロッパにおける最初の大発生まで、南北アメリカに分散していた、とマックス・プランク発生生物学研究所(テュービンゲン)の遺伝学者で本研究の共同リーダーの一人、エルナン・ブルバノ(Hernán Burbano)は話す。

研究者たちは飢饉の原因となった系統の謎を解いただけでなく、押し葉標本が昔の病原体から得られるDNAの素晴らしい源であることも示した――そして病原体がどのように進化し、人類が植物病の拡散にどのように影響したかを理解する研究という新領域を開いた。「2枚の紙の間に何年も保存された押し葉標本からDNAを抽出して、それをシーケンシングマシンにかけて、そのゲノムを得られるなんて、凄いことだ」とクラウゼは話す。

他の研究者たちは賛成する。「それは植物標本庫の資料が将来の研究にたくさんの考察を与えるに違いない大きなサインだ」とコペンハーゲン大学の進化遺伝学者、トマス・ギルバート(Thomas Gilbert)は話す。彼は競合チームの共同リーダーで、チームの論文は別の雑誌で査読にかけられている。その研究の中で、ギルバートと共同研究者たちはジャガイモの葉から取られたDNAの配列を読み、P・インフェスタンスの昔の飢饉の系統と現在の系統の間に違いをもたらす遺伝子に注目した。彼はアイルランドとヨーロッパに胴枯病を引き起こした系統がそんなに少しの変異しかなかったのかをテストするにはさらなる研究が行われなければならないと考えている。それでも、彼は「それはとても良い論文だと思う。とうぜん、それはすばらしい考えだと思う」と続ける。

ScienceNOW
The Great Famine: Decoded
Ann Gibbons, 21 May 2013

原論文
Kentaro Yoshida, Verena J Schuenemann, Liliana M Cano, Marina Pais, Bagdevi Mishra, Rahul Sharma, Chirsta Lanz, Frank N Martin, Sophien Kamoun, Johannes Krause, Marco Thines, Detlef Weigel, Hernán A Burbano
The rise and fall of the Phytophthora infestans lineage that triggered the Irish potato famine
eLife 2013;2:e00731
DOI: http://dx.doi.org/10.7554/eLife.00731Published May 28, 2013
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