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イヌ家畜化をめぐる論争

イヌの遺伝学が科学論争を刺激する



研究者たちはイヌの家畜化をめぐって意見を異にする。

Ewen Callaway
18 June 2013


イヌがどこでいつ家畜化されたかという問題で遺伝学者たちは綱引きする。
Les Hirondelles Photography/Flickr/Getty Images


オオカミのイヌへの変化を調査する科学者たちは彼らが研究する動物と少し似た行動を取っている。イヌの家畜化を理解するために遺伝学を使う人たちのあいだでけんかが起こっているのだ。

ここ数ヶ月に、3つの国際チームがイヌとオオカミのゲノムを比較する論文を発表した。いくつかの問題――2種を分ける遺伝的変化のタイプなど――については、研究者たちは多かれ少なかれ合意している。だがこれらのチームはすべて、時期、場所、および獰猛なオオカミを穏やかなイヌに生まれ変わらせた基礎について、ひどく違った結論に達している。「セクシーな分野だ」とダラム大学(英国)の考古遺伝学者、グレガー・ラーソン(Greger Larson)は話す。彼は10月に開始するイヌの家畜化の研究に950,000ポンド(150万USドル)のグラントを獲得している。 「数多くのビッグネーム、たくさんのお金、そして最初に論文をネイチャー(Nature)に載せたいと思ってる人がいっぱいいるよ」

1月、ウプサラ大学(スウェーデン)の遺伝学者、エリク・アクセルソン(Erik Axelsson)とシャスティン・リンドブラッド=トー(Kerstin Lindblad-Toh)、および共同研究者たちは、デンプンの分解にかかわる遺伝子が家畜のイヌを野生のオオカミから分離させたと考えられるとネイチャー誌に報告した。論文とメディアインタビューの中で、研究者たちはイヌ家畜化がおよそ10,000年前の中東での農耕の夜明けによって促進されたと主張した。オオカミが人類の居住地とゴミ捨て場の周りをぶらぶら歩き始めたというわけだ(イヌ家畜化とデンプン代謝参照)。

しかし他のプロジェクトでリンドブラッド=トーとともに研究したことのあるラーソンは、彼女らの主張が疑わしいと話す。彼は家畜イヌのものに類似した骨は新石器革命より少なくとも数千年前からあることから、家畜化はそれより前に起こってなくはいけない、と注意する。「なぜ明らかに真実でないことを言う無駄なスペースが[論文中に]あるんだ?」と彼は話す。

アクセルソンはイヌにおけるデンプン消化の変化が、家畜化された後に起こったことを認めた。しかし彼は新石器時代が何千年も続いた時代であり、イヌは農耕生活に向けた最初期の段階のあいだ――人類の狩猟採集民が定住し、よりデンプンに富んだ野生植物を食べ始めたころ――に家畜化されたのかもしれない、とも反論した。

先月ネイチャー・コミュニケーションズ誌(Nature Communications)に発表された2番目の研究は、イヌが32,000年前の中国南部で旧石器人類の残飯漁りを始めたころに家畜化されたと主張する。昆明動物研究所(中国)の張亜平(Ya-ping Zhang)率いるチームはその結論を、いくつかのハイイロオオカミ、現生ヨーロッパのイヌの育種、および中国土着のイヌの全ゲノムを研究して導いた。

しかしラーソンによると中国南部にオオカミが棲息していたことを示す証拠はなく、「オオカミがいないのにどうやってそれを家畜化するんだ?」という。国立自然史博物館(パリ)の考古動物学者、ジャン=ドニ・ヴィーニュ(Jean-Denis Vigne)も同じ意見で、以前の研究の中で張のチームが「発表されているものを完全に無視した、遺伝学の枠組みの中でさえも」と書いている。

スウェーデン王立工科大学(ソルナ)の遺伝学者でネイチャー・コミュニケーションズ誌の論文の共著者である、ペーテル・サヴォライネン(Peter Savolainen)は中国の科学文献がかつて中国の揚子江の南にオオカミが棲息していたが、その後絶滅したことを示すと主張する。しかし彼はチームが報告した年代が――すべての分子年代の試みと同様に――各世代に起こる遺伝的変異の数など、いくつかの仮定に依存していることを認めている。

3番目の論文は家畜化のより可能性の高い年代は11,000-16,000年前だったと主張する。5月31日にarXivプレプリント・サーバに投稿された研究は、張のものと同様に、オオカミとイヌの全ゲノムを比較している。しかしこの論文はいっそう複雑な絵を描いていて、オオカミと現生イヌの祖先は家畜化からだいぶ経っても互いに混血し続けていたことと、イヌを生んだオオカミ個体群は絶滅していることを示す。

著者はシカゴ大学(イリノイ州)のジョン・ノーヴェンバ(John Novembre)が共同で率いる遺伝学者たちのチームで、この研究がまだ雑誌に発表されていないために彼らはそれについてコメントするのを拒んだ。しかしラーソンらによるとこの論文には大きな強みがあるという――はるか昔に死んだイヌとオオカミのゲノムの研究が論争に決着をつける唯一の方法だ。少なくともほかに米国の3つと、ヨーロッパのいくつかののチームが古代のイヌとオオカミのゲノムの配列を読む競争をしている。だが研究者たちによると家畜化のより明瞭な絵を構築するには数多くの標本が必要になるという。なお、コーネル大学(ニューヨーク州イサカ)のイヌ遺伝学者で、arXivの論文に関与した、アダム・ボイコ(Adam Boyko)は「我々は選り好みできる立場にない」と話す。「我々はDNAを抽出できるサンプルに限定されていくようなものだ」

古代DNAを調べる動きはイヌの遺伝学という小さな分野をますますやっかいにする。考古学的な骨サンプルがとても貴重なためだ。ノーヴェンバは、彼はこの分野がヒトの遺伝学よりやっかいであることが分かった、彼の経験は将来のイヌの研究について彼を止めさせた、と話す。「イヌの世界はほんとうに強烈だ」と彼は話す。しかし中国のグループとも協力しているボイコは、この分野は競争的だが、学術的に協力的でもあるという。「一日の終わりに、我々は出会うとくつろいで互いにビールを楽しむ」。

Nature News
Dog genetics spur scientific spat
Ewen Callaway, 18 June 2013
Nature 498, 282–283 (20 June 2013) doi:10.1038/498282a
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