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二番目の鳥フル論文

ついに公表、H5N1の研究はウイルスがパンデミックを起こす可能性への洞察をもたらす

Martin Enserink, with reporting by David Malakoff

立場によって、Science誌本号の1534ページに載った研究は、新しいインフルエンザ・パンデミックから無防備な世界を守ろうとしている公衆衛生の専門家――あるいはパンデミックを解放することに熱心な未来のバイオテロリスト――にとって、二回目の良い週になった。

エラスムスMC(オランダ、ロッテルダム)のウイルス学者、ロン・フーシェが率いる研究所によるその論文は、ひとつかみの変異がどのようにH5N1鳥インフルエンザウイルスに簡単に哺乳類の間を移動する潜在能力を与えるかを記述した。それは人類にインフルエンザ・パンデミックを引き起こす潜在能力だ。このウイルスは典型的には鳥類に感染する。この研究結果が公表されるべきか――そしてそもそも研究者たちはこの実験を行うべきか、という8ヶ月以上にわたるしばしば激烈な国際的な議論の末にそれは発表された。


CREDIT: G. GRULLÓN/SCIENCE

去年の後半、米国国家科学諮問委員会(NSABB)は満場一致で本研究の詳細を発表しないようScience誌に求めた。(原則として、この雑誌は同意した。)しかし3月、この原稿の改訂され、拡張されたバージョンと他の証拠を吟味した後に、同委員会は12人中6人が完全な発表に投票した(Science, 6 April, p. 19)。それと平行して、この議論を受けて、インフルエンザ科学者たちは同じタイプのH5N1の研究について歴史的なモラトリアムを自ら課し(1496ページ参照)、米国政府は潜在的に危険な病原体に関する税金で援助された研究への新しい管理を決め、オランダ政府は輸出管理法を発動させて論文の発表を阻止することを考えた。

この論文はH5N1がパンデミックの潜在性を持つことを示すここ2ヶ月で二番目のものだ。先月、Nature誌はウィスコンシン大学(マディソン)と東京大学の河岡義裕による同様の研究を掲載し、その研究も同様にこの論争に巻き込まれた(Science, 4 May, P. 529)。

今まで、フーシェは自身の研究について非常に一般的な用語でしか議論してこなかった。広くメディアの取材を起こしたマルタでの2012年9月のインフルエンザ会議での発言もそうであった。完全なデータを見て「酔いが覚める気分」と米国疾病管理予防センター(アトランタ)のインフルエンザ専門家、ナンシー・コックスは話す。それが他の研究――彼女自身のものを含む――が示してきた方法より簡単にH5N1にパンデミックを引き起こさせることを示すためだ。フーシェの発見は、河岡の論文と組み合わせて、このウイルスがパンデミックになる方法と、公衆衛生の当局がウイルスにそれを起こす変異を見張る方法を明らかにするものだ、と香港大学のマリク・ペイリスは話す。

H5N1は1997年に最初に表れて以来、家禽の群れを大量に殺し、600人以上の人々を殺してきた。だが、それは人から人へと広がるのが難しいためにこれまで人類にパンデミックを引き起こしていない――そして一部の科学者たちは将来も起こらないと考えている。パンデミックになるには、ウイルスは「風媒性」になるか、咳やくしゃみの間に吹き出る小さな飛沫を通して蔓延できるようにならなくてはならない。それは他のインフルエンザ系統が人類のなかで蔓延する方法だ。フーシェと河岡の両者は、どの変異がH5N1に同じことをできるようにするのかを知ろうとした。

だが、両者の研究には重要な違いがある。河岡はハイブリッドウイルスを作った。彼はヘマグルチニンと呼ばれるウイルスタンパクのための遺伝子は鳥H5N1系統から取り、それを2009年と2010年に世界中に流行し、すでにヒトによく適応したパンデミックH1N1ウイルスからの7つの他の遺伝子セグメントとともに縫い合わせた。この出発点から、一匹の感染フェレット――ヒトの感染への一般的な動物モデル――から空気を通して移動し、他の個体に感染できるウイルスを作るにはヘマグルチニン遺伝子の中のたった4つの変異しか必要としなかった。しかし河岡のハイブリッドは自然にはまだ見られないものだ。

それに対してコックスによると、フーシェの研究の「強み」は、それがインドネシアでのヒトの犠牲者から単離された実際のH5N1ウイルスで出発したことだ。Science誌へのEメールの中で、河岡はフーシェの研究が最も切迫した問題により直接的に取り組んでいるということに同意する。「ロンのデータは非常に重要だ」と彼は言った。

フーシェのチームは最初に、ウイルスが哺乳類の蔓延へ適応するのを助けることが分かっているいくつかの変異を挿入した。一つの重要な標的はウイルスの受容体結合部位、宿主細胞と最初の接触を作るヘマグルチニン分子の中の領域である。科学者たちはすでにウイルスが鳥類細胞より哺乳類細胞を好むようにする二つの変異を知っていた。もう一つの変異はポリメラーゼ・タンパク複合体にあり、鳥類の腸管ではなくヒトの上部気道という冷涼な環境で複製できるようにする。ウイルスが普段住みつく鳥類の腸管は、はるかに温かい環境なのだ。

これらの最初の変異だけでは企みは成功しなかったが、フーシェのチームは病原体に新しい宿主への適応を促進するという昔ながらの手法を試そうと決めた。彼らは感染した動物からの鼻腔サンプルを未感染の動物に直接接種するという方法で、ウイルスをフェレットからフェレットへと移動させ、この手順を全部で10回繰り返した。(フーシェはマルタの発言の中で、これを「本当に馬鹿な」アプローチだと呼び、彼がそれを後悔していることを意味する文言だと広く解釈された。彼によると実際には、継代実験と呼ばれる技術が標的変異を作り出すことの洗練さに比べて単純だと彼は言いたかっただけだった。混乱は部分的には「馬鹿」というオランダ語の単語が「単純」を意味することもある、という事実に由来するだろう。)

最終結果は、檻に入れられた一匹のフェレットからその隣の別の檻の個体へと空気を通じて移動できるウイルスができた。最初の実験では、ウイルスは4例のうち3つで檻から檻へと感染した。

発表の前に、メディアの報告は空気感染は5つの変異を必要とすることを示していた。真実はもっと複雑である。フーシェの感染可能なウイルスのどれもが少なくとも9つの変異を持ち、そのうちの5つが全部に共有されていた。このコア・クインテットは十分条件だろう、とチームは書くが、大きな問題は他の一つ以上の変化が同様に重要な役割を演じているかどうかだ、とペイリスは話す。

フーシェはすでに答えの部分を知っている。いったん彼のチームが2011年夏に感染を達成すると、研究者たちはウイルスに空気感染させるのに必要な変異の最小セットを決定する追加実験を始めた。しかしそれらの実験が終わる前に、彼らはScience誌に原稿を投稿した。河岡や他の科学者たちが彼らにパンチをくらわせるかもしれないと恐れたからだ。「通常、何か重要な発見をしたとき、誰か他の人もそれを発見している」とフーシェは話す。(彼は正しかった。河岡はフーシェの研究について知らなかったというが、彼は自分の原稿を2週間弱早く投稿していた。)今、フーシェは追加実験の結果について議論するのを断っている。それはモラトリアムの結果として保留中だ。

発表された論文は5つの変異のコアセットはチーム自身が導入した三つと継代実験の間に起こった2つを含むことを示す。そして河岡の発見との類似性は「極めて顕著だ」とスクリプス研究所(カリフォルニア州サンディエゴ)の糖鎖生物学者、ジェイムズ・ポールソンは話す。両チームは受容体結合部位での二つの変異――そのうちの一つは二つの研究で同一である――が重要であることを見い出した。両者はヘマグルチニンに糖鎖群を失わせる追加的変異を発見した。それは、見たところ哺乳類宿主細胞の受容体のための空間を作るのを助ける。河岡はウイルスの安定性を向上し他の変異を補うヘマグルチニンのストークにおける変異も見つけた、とポールソンは話す。フーシェの変異のうちの一つが同様の役割りを果たしているという「考えは魅惑的だ」。ただしそれはストークにあるのではなく、三つのヘマグルチニン分子がいわゆる三量体をを形成して並ぶ別の領域にある。


軽視(くしゃみ)できるものではない。隣接した檻に感染および未感染フェレットを置くことによるH5N1の空気感染をテストした研究。CREDIT: PHOTO COURTESY OF S. HERFST

コックスによると彼女の「驚き」は、それがさらなる変異を必要としないことだ。ポールソンとともに11月にVirology誌のオンライン版に発表した研究で、彼女のチームも受容体結合部位を変異させたが、空気感染を得るにはいくつかの他の変化も作らねばならなかった。それにはノイラミニダーゼと呼ばれる別のウイルス遺伝子のヒト適応バージョンへのスロットインも含まれる。それは著者たちに、このウイルスがパンデミックとなるには「費用のかかる進化」が要求されるだろう、と結論づけさせた。フーシェの論文はその心強い見解をひっくり返す。

両論文がH5N1の中のどの遺伝子の変化を見張ればいいのかを示すため、監視努力が促進されるだろう、とペイリスは話す。しかしそれらは限界も指し示している。いくつかの変異はウイルスに同じ効果を持ちうるのだ。「これらの変だけに焦点を絞るのは適切でない」とペイリスは話す。「ウイルスにはAからBへと行く違う道もあるのだ。」さらなる研究がどれだけ多くの道があるかを発見するのに必要だ、と彼は話す。

今週発表され、河岡とフーシェが共著者の二番目の論文(1541ページ)の中で、ケンブリッジ大学(英国)の数学者、デレク・スミスが率いるグループはパンデミックH5N1系統が出現する見込みを理解しようと試みた。研究者たちは最初に監視データベースを徹底的に探し、二つの論争を起こしている研究で見つけられた変異がすでに自然界に現れているかどうかを決定した。彼らは多くのH5N1単離体が河岡のカルテットから3つ――そして少しの稀な事例では、たった2つ――の変異しか、そしてフーシェのクインテットからは4つの変異しか離れていないことを見い出した。

彼らはウイルス進化のモデルを開発し、いま存在するウイルスが、いったん哺乳類宿主に感染してしまったら、足りない変異を集積して呼吸器飛沫に分泌されるようになって、感染の連鎖を始めるかどうかをテストした。このモデルは、感染の存続期間や彼ら自身による個体への感染がウイルスに利益があるかどうかなど、さまざまな因子を考慮する。結論は、第一著者でケンブリッジ大学のコリン・ラッセルによると、フルセットから3つの変異しか離れていないウイルスはそれらを獲得し飛沫に至ることは「ありそうだ」。しかし論文はその危険性について数字を出していない。未知のことが多すぎるのだ。

「空想的な数学はいくらでもできるが、最終的に可能性を突き止めるのは困難だ」とペイリスは話す。まだ、「それはモデリングをどうすべきかというモデルだ」とノースウェスタン大学(イリノイ州シカゴ)でHIV進化を研究するスティーヴン・ウォリンスキーは話す。「彼らは全ての注意を説明するという非常に良い仕事をしている」

この研究は2月にあった世界保健機関の論文についての会議と、3月にあった第二のNSABBのリヴューの両方に提出され、それは委員団の大多数に、H5N1の危険性はフーシェの論文の発表を是認するのに十分なほど現実的だと確信させるのを助けた、とNSABBの仮議長でノーザン・アリゾナ大学(フラッグスタッフ)の微生物遺伝学者、ポール・ケイムは話す。

評議団を発表支持へと揺り動かした別の因子は、NSABBのメンバーによると、フーシェの論文の公表バージョンは、彼らが読んだ最初のバージョンより、空気感染ウイルスの致死性を明瞭にするずっと良い仕事をしていたことだ。フーシェによると彼がScienceに投稿した草稿は彼の空気感染ウイルスが感染したフェレットを殺したかどうかについて議論していなかった。しかし3人のうち2人のリヴュワーは致死性を精査する追加的実験を求めた。フーシェによると、それはまさに実行する1週間前だった。「だから我々はそれをや」り、論文に一行を加えて結果を記述した。

その言語は――インタビューの中でのフーシェの意見と時に誇張されるプレス取材――空気感染変異が極めて致死的であることを示すように見える。それが多くのNSABBのリヴュワーに「大いに警告した」とセント・ジュード小児研究病院(テネシー州メンフィス)のウイルス学者でNSABBに二つの論文についての助言を求められたインフルエンザ専門家、ロバート・ウェブスターは話す。だが実際は、フェレットのうち空気感染から死んだ個体はいない。ウイルスを気管へと直接噴霧された6匹のフェレットは全て死んだ。しかしその結果はこのウイルスのリスクを評価するには「とても適切でない」とフーシェは注意する。それがヒトや動物が典型的にインフルエンザに接触する方法ではないためだ。彼によるとNSABBが去年のその最初のリヴューで見た原稿は感染ルートが違えば違う結果になることを明瞭にしていたという。

しかしウェブスターによると、提出された結果はある意味でNSABBを混乱させたという。彼によると、NSABBの議論に関わった、彼自身を含む、経験を積んだウイルス学者たちは、その結果を明瞭化するのに努力しなくてはならず、フェレットでの致死性が必ずしもヒトにおける致死性を予言しないことを強調しなくてはならなかった。NSABBの最初の勧告の数ヶ月後に最終的に致死性のデータがより明らかになって、多くのメンバーが再考を始めたという。フーシェは回想の中で、結果として起こった混乱を考慮して、「我々は[Science誌の]リヴュワーたちの致死性データへの要求を無視せざるを得なかった」と話す。

だが、フーシェの論文の公表はそのような問題についての決定的なものではないと思われる。とりわけ、今モラトリアムによって停止している同様の研究を再開したいと思っているインフルエンザ研究者たちにとっては。だが多くの者は、最近8ヶ月のドラマの再現を避けたいと切望して、恐る恐る歩みを進めているいる。この部分で、フーシェは「これらの議論すべてに飽き飽きしている」と話し、未展開の物語の解明を助ける目的で彼の最初の原稿を記者たちに公表するのを断った。ケイムが彼が支援すると話すステップだ。「私はどんどん進みたい」とフーシェは話す。「5年か10年のうちに誰かがこれの全てについて一冊の本を書くだろう」。

Scinece - News & Analysis
Public at Last, H5N1 Study Offers Insight Into Virus's Possible Path to Pandemic
Martin Enserink
Science 22 June 2012: Vol. 336 no. 6088 pp. 1494-1497, DOI: 0.1126/science.336.6088.1494

元論文
Sander Herfst, et al.
Airborne Transmission of Influenza A/H5N1 Virus Between Ferrets
Science 22 June 2012: Vol. 336 no. 6088 pp. 1534-1541, DOI: 10.1126/science.1213362
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