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系統学をひっくり返す男

系統学: 進化を書き換える

マイクロRNAsと呼ばれる小さな分子は動物の系統樹についての従来の考えを引き裂いている。

Elie Dolgin
27 June 2012


ケヴィン・ピーターソンは、アラスカヒグマを含む、多くの哺乳類を、進化ツリー上の彼らの従来の止まり木から蹴り落とした。DANA SMITH

ケヴィン・ピーターソンはハノーバー(ニューハンプシャー州)のバーでペンを握り、紙のテーブルクロスの上に進化ツリーを走り書きし始めた。私が見やすいように上下逆に書き、胎盤哺乳類の標準的な系統学の物語を描き出した。最初に、ピーターソンはゾウへと一本の線を引いた。ゾウはおよそ9000万年前に胎盤類の残りから枝分かれした。次にイヌが来て、霊長類(ヒトを含む)、そして齧歯類が続いた。これらはすべて激動の2000万年のあいだに分かれた。この家系図はたくさんのゲノムと形態のデータに裏打ちされていて、古生物学コミュニティによく受け入れられている。だが、ピーターソンによると、このツリーはすべて間違っている。

近くのダートマス大学の分子古生物学者であるピーターソンは、マイクロRNAsと呼ばれる短い分子を使って進化の枝分かれを解明する技術を開拓して以後、過去数年に系統図を作り直してきた。彼は今、劇的に違う哺乳類のダイアグラムを描き出している。それはヒトが齧歯類よりもゾウに近く配置される図だ。

私は何千ものマイクロRNA遺伝子を見てきたが、一つとして従来のツリーを支持する例は見つけられなかった」と彼は話す。この技術は「我々の哺乳類進化の理解についてすべてのことを変えているところだ」。

ピーターソンは教科書を書き換え始めていない。温和だが直截的な物言いをするモンタナ人であるピーターソンは、左右相称のボディプランが5億年以上前にどのように起源したかを研究する静かなキャリアを積んでいた。彼はとりわけ海洋無脊椎動物に興味を持っていて、比較的曖昧なこの動物のツリーの枝をくっつけるつもりであった。しかし偶然にワムシ類と呼ばれる顕微鏡サイズの生き物でマイクロRNAsを研究する機会があり、それは彼が昆虫からウニまでの全ての生き物でこれらの調整分子を調査するきっかけになった。そして彼は調べ続けるとともに、動物ツリーの根底からその頂上に至るまで、問題があることを明らかにし続けている。

それによって彼は多くの批判を浴びているが、いくらかの強い支持者も現れている。「ピーターソンと彼の共同研究者たちはマイクロRNAsが主要な動物グループの関係を決定する強力なツールであることを立証してきた」とイェール・ピーボディ自然史博物館(コネティカット州ニューヘヴン)の館長、デレク・ブリッグスは話す。

今、ピーターソンは世界中の共同研究者たちとともに、哺乳類についてすべてを正直に話している。「我々がこれを間違えば、あらゆる人がマイクロRNAsに[系統学へ]持っているすべての信用を失うことになる」とブリストル大学(英国)の古生物学者、フィリップ・ドノヒューは話す。彼はピーターソンとチームを組んでいる。そして単なる技術を超えた危険がある。「それは我々全員のキャリアの終わりになりうるだろう」と彼は話す。

化石を見つける

ピーターソンがキャリアを最後に変えるとしたら、それは初めてのことではない。1990年代初頭、彼は故郷のヘレナ(モンタナ州)にある貨物運送会社の夜間シフトの荷物トラックで働いきながら、人生で何をすべきかを解決しようとしていた。彼は最近、地元の教養大学で医学部進学資格を得て卒業したが、彼は自分が医者になりたいとは思っていないことに気づいた。そして、両親の物置を漁って、四歳のときに彼が収集した初めての化石を見つけた。それはボタンサイズのウミユリだった。「それを見つけた後、これこそ自分がやりたかったことだとすぐに分かった」と彼は話す。「私は次の週に大学院に出願した」

彼はすぐにカリフォルニア大学ロサンゼルス校の地球宇宙科学教室のPhD過程に入学した。そこで、彼はカリフォルニア工科大学(パサデナ)の発生遺伝学者、エリック・デイヴィッドソンとアンドルー・キャメロンとチームを組んで、彼の大学院とポスドク研究の期間にわたって、三人は備蓄細胞と称する挑戦的な考え方を発展させた。彼らは現代の動物の祖先が、未分化の細胞のグループからなる、幼生のような生き物で、その細胞はカンブリア爆発の間に見られる一連の成体ボディプランを生じさせる能力を維持していたと仮定した。この考えは後に進化学および発生生物学のコミュニティからの銃火を浴びることになった。

2000年にダートマスに移って自分の研究室を始めてから数年後、ピーターソンはこの仮説をテストする方法を探っているあいだに、マイクロRNAsに興味を引かれるようになった。マイクロRNAsは1993年に現マサチューセッツ医科大学(ウスター)のヴィクター・アンブロスによって最初に発見されたヘアピン形の分子で、メッセンジャーRNAにくっついてタンパク質の合成を止める。デイヴィッドソンを含むチームはlet-7と呼ばれるマイクロRNAが左右相称ボディプランを持つ動物系統には存在するが、クラゲ類やカイメン類のようなより単純な生物には存在しないことを明らかにした。これはマイクロRNAsが形態の複雑さの秘密を持っているかもしれないことをほのめかした。

ピーターソンは、当時ダートマスでアンブロスと研究する院生だったロレンソ・センペレとチームを組んだ。二人はワムシ類を含む、比較的単純な無脊椎動物と、より複雑な甲殻類におけるlet-7と一握りの他のマイクロRNAsを調査し始めた。彼らがさらにマイクロRNAsを加えると、彼らは明らかなパターンを見つけた。動物が進化のツリーの幹から離れれば離れるほど、集積されたマイクロRNAsが多かった。二人はこの分子が「それまで誰も考えたことのない稀なゲノムの形質のセットを使うという、系統学をするまったく新しい方法」をもたらすことに気づき始めた、とピーターソンは話す。

ピーターソンとセンペレが発見したマイクロRNAsは、生物学者たちが進化的関係を解明するのに典型的に使う他の分子指標のいずれとも違っていた。たとえば、DNA結合部位は持続的に変異している。それに対して、マイクロRNAsはあるかないかのどちらかであるため、それらの解釈は複雑なシーケンシングと配列分析を必要としない。そしていったん得られると、マイクロRNAsは通常は機能し続け、それらのシグナルが何億年も無傷であり続けることを意味する。「こんな風に進化する遺伝子ファミリーは知られていない」とピーターソンは話す。さらに、これらの小さな分子は特定の組織の中で発現され、特定の器官の発達の調節を助けることが多いので、それらは地質時代にわたる形態学的イノベーションの起源を説明できる。

ピーターソンの最新の計算によると、778個のマイクロRNAファミリーが6臆念前後の動物進化の間に出現し、48個だけが失われたという。この相続パターンは系統学の探偵に簡単に追える進化的痕跡を残す。ヒュブレヒト研究所(蘭ユトレヒト)でマイクロRNAsを研究するユージン・ベレジコフは、「分析がはるかに単純なため」マイクロRNAsが他の進化の分子マーカーよりも明瞭な答えを与えると話す。

無名からの脱却

最初に、ピーターソンとセンペレは動物が調節マイクロRNAsを集積してきたことを示す結果を公表するまで、我慢の時間だった。「査読者の一人は、我々が書いていることがありえないと言った」とピーターソンは話す。最後に、研究は専門的な動物学の雑誌に公表された。だが、その後の論文はいくらかの懐疑論を乗り越えて、ピーターソンはすぐにNature誌とScience誌に論文を発表した。それは彼が増やしたマイクロRNAライブラリーを使って、無顎魚類と爬虫類からショウジョウバエと無体腔ワームまでの進化系統の分類の中、および間の関係を解決するものだった。

「それは系統学への本当に賢くて新鮮なアプローチだ」とライプツィヒ大学(独)の進化生物情報学者、ピーター・スタドラーは話す。「マイクロRNAsの存在/不在がなぜもっと頻繁に深い系統学アプローチで使われないのかとても分からない」

まだ、マイクロRNA遺伝子が他のタイプの系統学データに勝ると全員が納得したわけではない。論争の重要な点は、ピーターソンが強く主張するように、マイクロRNAsはゲノムから稀にしか脱落しないのかということだ。サース国債海洋分子生物学センター(ノルウェイ、バルゲン)で無脊椎動物進化を研究するアンドレアス・ヘイノルは懐疑的だ。「マイクロRNAsは他の遺伝子と同様に振る舞う――つまいり、それらは失われることがある」と彼は話す。「それらに何も特別な謎はない」。ジョージア大学(アセンズ)の進化生物学者、トラヴィス・グレンもそれに賛成し、マイクロRNAの喪失は恐らく過小評価されていると話した。5月に、彼と共同研究者たちはピーターソンがカメ類が鳥類とワニ類よりもトカゲ類に近縁だと主張した論文――ほとんどのゲノムのデータセットが示すのと逆――に反論する報告を発表した。グレンは超保守的なDNA要素――進化が長期間にわたって止まったままである要素――が従来の見方が正しいことを示すと主張した。

批判のほとんどは声の大きな少数派であったが、ピーターソンが自分のマイクロRNA分析を携えて進化の梯子を登ると、彼の声ははるかに多くの聴衆に届くだろう――そして中傷者たちはもっと声を大きくしていくだろう。「我々は哺乳類であり、これは問題だ」と彼は話す。

樹上に追い詰められる

ピーターソンは胎盤類の系統学についての研究を始めた頃、彼はもともと伝統的な哺乳類のツリーを確認しようと意図していて、それをぶった切ろうとしていたのではなかった。彼は増大する自分のマイクロRNAライブラリーで実験していくと、それを哺乳類に適用した。哺乳類のツリーはよく確立されているので理想的なテストに思われたからだ。悲しいかな、データは合わなかった。伝統的なツリーが正しいとすると、前代未聞の数のマイクロRNA遺伝子が失われているということになる。ピーターソンはそれはとてもありそうにないと考えている。「マイクロRNAsはまったく曖昧なところはない」と彼は話す。「しかしそれらはほかのすべてが求めるものとまったく違うツリーを与える」

この結果は始原胎盤哺乳類のイメージを変える。マイクロRNAsはマウスとラットを胎盤哺乳類ツリーの基部に置くため、持続的に成長する切歯などの齧歯類様の特徴が、最初の胎盤類に共有されていて、それから霊長類、ゾウ類、イヌ類およびウシ類を導く系統で失われた、ということが示唆されている('決闘するツリー'の図を参照)。この発見は胎盤哺乳類の地理的起源も移動させる。胎盤哺乳類が生まれた場所は、最初の齧歯類化石が見つかった北半球であり、多くの研究者たちが化石とDNAのデータに基づいて推定している南半球ではない、ということが示唆される。



最初に、ピーターソンは自分の結果にショックを受けた。それはまだ発表されていない。しかし彼は昨年を費やして、遺伝子発現ライブラリーとゲノム配列で自分のツリーを検証し、彼によるとそのすべてが彼の研究結果を支持していた。

多くの伝統的なツリーの支持者は何か特殊なこと――哺乳類系統における大きな欠損かもしれない――がマイクロRNAsに起こったのではないかと疑っている。「彼はゲノム全体について語っていて、それは絶対に間違いだ」とケンブリッジ大学(英)の哺乳類古生物学者、ロバート・アッシャーは話す。「私はそれをちっとも深刻なことだとは考えていない」とカリフォルニア大学リバーサイド校の分子系統遺伝学者、マーク・スプリンガーは話す。彼は昨年、伝統的な哺乳類のツリーを支持する、それまでで最も包括的なゲノムのデータセットを発表した。「他の説明があるはずだ」と彼は話す。

ピーターソンらのチームは今、哺乳類のゲノムに戻って、なぜDNAとマイクロRNAsがそのような異なった進化の軌跡を与えるのかを調査しようとしている。「この段階で分かっていることは、非常に深刻な不一致があるということだ」とアイルランド国立大学メイヌース校の系統遺伝学者、ダヴィデ・ピサニは話す。彼はこのプロジェクトに参加している。「哺乳類のマイクロRNAsが完全に違った道で進化したか、伝統的なトポロジーが間違っているかのどちらかに思える。まだ分からない」

この問題の解決を期待して、ドノヒューとユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの系統遺伝学者、楊子恒は、36種の哺乳類から14,600以上の遺伝子におよぶDNA配列を蓄積するのに過去数年を費やしてきた――スプリンガーが使ったデータセットがちっぽけに見える量だ。彼らは大きな量のDNAデータがマイクロRNAsが出したのと同じツリーを作るかどうかを正確に決めようと試みている。彼らは胎盤哺乳類の起源と多様化の年代を明らかにでできたが、まだどの系統が最初に枝分かれしたのか――系統への重要なテスト――を解決しようと研究している最中だ

ピーターソンはすべて忘れたいと思っている。「この哺乳類プロジェクトの嫌なところは何もかも費やすことだ」と彼は話す。「究極的には、私は哺乳類が互いにどのような関係なのかは気にしていない――それは私にとってどうでもいいことだ。しかし重要なのはデータセットの有効性だ」

従来の哺乳類のツリーが正しかったということになっても、ピーターソンはその結果をマイクロRNAsの敗北とは見ないだろう。何かおかしなことが哺乳類のマイクロRNAsに起こったことを意味するだけだ、と彼は話す。「それはマイクロRNAsの進化と哺乳類の進化における遺伝子調節ネットワークの構築について本当に面白い何かを示す」

今のところ、彼はこの哺乳類の研究を発表する前に、彼ができうる最高の証拠を蓄積しようとしている。それから彼は古代無脊椎動物の生物学者という静かな生活に戻りたいと思っている。しかしもしピーターソンの航海が哺乳類系統学をひっくり返したら、彼は自分の航跡に毛皮のめちゃくちゃを残しているだろう。

Nature, News Feature
Phylogeny: Rewriting evolution
Elie Dolgin, 27 June 2012
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