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軟骨魚類初のゲノム解読

なぜサメには骨がないのか



ゾウギンザメのゲノム――軟骨魚類で初――が脊椎動物の初期進化を明らかにする。

Brendan Borrell

08 January 2014


Norbert Wu/Minden Pictures/Getty Images
ゾウギンザメは過去4億2000万年に少ししか変わっていないため、そのDNA配列は他の脊椎動物種との比較に有用だ。


大きな鼻を持ったへんちくりんな魚はゲノム配列が読まれた最も原始的な有顎脊椎動物となった。ゾウギンザメのDNA配列はサメがなぜ軟骨骨格を持ち、ヒトなどの脊椎動物がどのように進化して免疫を獲得したかを説明するのに役立つ。

ゾウギンザメ(カロリンクス・ミリイ Callorhinchus milii)はギンザメ類と呼ばれる軟骨魚類の初期に進化的に分かれた枝の一部であり、サメ類やエイ類に近縁だ。それらはオーストラリア南部とニュージーランドの沖の深海を泳ぎ回り、その目立つ鼻を使って砂に埋まった貝類を狩る。ゾウギンザメはヒトを襲わないことが分かっているが、背鰭に長さ7センチメートルの棘を備えていて、捕食者に対する防御に使われる。

6年前、科学者たちはC・ミリイのゲノムが比較的小さかったため――ヒトゲノムの約三分の一のサイズ――、それを配列を読む最初の軟骨魚類に選びだした。「両生類、鳥類、哺乳類ではすでに多くのゲノムがあるが、サメ類はなかった」と研究の著者でシンガポール科学技術研究庁の比較遺伝学の専門家、ビラッパ・ヴェンカテッシュ(Byrappa Venkatesh)は話す。

海のダンボ
ゾウギンザメは初期の有顎脊椎動物でおよそ4億2000万年前に硬骨魚類が現れて以来、少ししか変わっていないため――そのため知られているすべての脊椎動物の中で進化が最も遅い――、比較遺伝学にとって重要な基準となっている。「我々はこれを今後数年のリファレンスとして使うことになる」とヴェンカテッシュは話す。そのゲノムは今日ネイチャー誌(Nature)に発表された。

これまでに、科学者たちは8種の硬骨魚類とヤツメウナギと呼ばれる2種の無顎脊椎動物のゲノムの配列を読んできた。サメ類、ガンギエイ類、エイ類、およびギンザメ類は骨でなく主に軟骨でできた骨格を持つ点で他の有顎脊椎動物から離れている。どの遺伝子が骨形成にかかわるかは分かっているけれども、サメ類が骨形成の能力を失ったのか、それともはじめからそれを持っていなかっただけなのかは明らかでなかった。なんといっても、サメ類は歯と鰭棘の中に骨を作っているのだ。

配列によってこのグループのメンバーが軟骨を骨へと変える過程を調節する一つの遺伝子ファミリーを失っていることが明らかになった。また遺伝子重複イベントが硬骨脊椎動物への変形を引き起こしたことも分かった。実際に、研究者たちがゼブラフィッシュでこれらの同じ遺伝子の一つをノックアウトすると、骨を形成する能力が著しく減少した。オレゴン大学(ユージーン)の発生生物学者、ジョン・ポスルスウェイト(John Postlethwait)はこれらの研究結果を「明解だ」と評している。彼は南極のコオリウオ(ノトテニア亜目)という、進化の過程で骨を形成する能力を失った魚をを研究していて、ゾウギンザメのゲノムから失われているのと同じ遺伝子の欠損があるかどうかを調べようとしている。

免疫の進化
C・ミリイのゲノムは獲得遺伝の進化についての重要な問題への答えにも役立つ。獲得形質はワクチン接種の基礎でありヒトをはじめとする脊椎動物が新しい病原体と戦うことを可能にしている。ゾウギンザメはウイルスには感染した体細胞を直接破壊するキラーT細胞はあるが、感染への免疫応答全体の制御を助けるヘルパーT細胞がない。新しい配列データは獲得形質が一段階という以前の考えとは違って二段階の過程で進化したことを示す。

北アメリカのレウコラジャ・エリナケア(Leucoraja erinacea、ガンギエイの一種)やハナカケトラザメ(Scyliorhinus canicula)を含む、さらなる軟骨魚類の配列を読む努力が進行中である。

肢がどのように魚類の鰭から進化したかを研究しているパラ連邦大学(ブラジル)の進化生物学者、イゴル・シュナイダー(Igor Schneider)はこの配列データを彼自身の研究に使ったら凄いと思っている。「ゾウギンザメのゲノムは比較解剖学の研究に非常に貴重なツールを提供する」と彼は話す。彼はそれが「陸上生物に向けての遺伝的ステップ」を特定するのに役立つことを望んでいる。

元記事
Nature News
Why sharks have no bones
Brendan Borrell 08 January 2014
Nature doi:10.1038/nature.2014.14487

原論文
Byrappa Venkatesh, Alison P. Lee, Vydianathan Ravi, Ashish K. Maurya, Michelle M. Lian, Jeremy B. Swann, Yuko Ohta, Martin F. Flajnik, Yoichi Sutoh, Masanori Kasahara, Shawn Hoon, Vamshidhar Gangu, Scott W. Roy, Manuel Irimia, Vladimir Korzh, Igor Kondrychyn, Zhi Wei Lim, Boon-Hui Tay, Sumanty Tohari, Kiat Whye Kong, Shufen Ho, Belen Lorente-Galdos, Javier Quilez, Tomas Marques-Bonet, Brian J. Raney et al.
Elephant shark genome provides unique insights into gnathostome evolution
Nature 505, 174–179 (09 January 2014) Published online 08 January 2014
doi:10.1038/nature12826

最初期の食肉類化石

新しい化石がライオンにトラにクマ(まあ大変!)の起源に光を照らす




ドルマーロキオン・ラトウリの復元。
Credit: Art by Charlène Letenneur (MNHN) and Pascale Golinvaux (RBINS).


ベルギーからの新しい化石がとあるもっとも有名で愛されている現生哺乳類の起源に光を照らした。ネコとイヌをはじめとする肉食哺乳類(クマ、アザラシ、イタチなど)は分類学的に「食肉類」('carnivoraformes')と呼ばれる。食肉類はその祖先をたどると約5500万年前(始新世と呼ばれる時代の始まりの頃)の原始的肉食動物にさかのぼる。Journal of Vertebrate Paleontology誌の最新号に発表された研究は、このグループの起源を議論するとともにこれらの原始的タクサのなかで最初期の一つとなる新種を記載する。

ドルマーロキオン・ラトウリ(Dormaalocyon latouri)と命名された種は、むかしベルギーのドルマールの産地で発見されていたものだ(だからこの属名になった)。筆頭著者のフロレアル・ソレ(Floréal Solé)と共同研究者たちが発見した新しい標本は、この動物のより良い特徴識別を可能にし、その食肉類の進化史のなかの位置づけを明らかにした。「その記載によって最初期の食肉類の起源、変異性、および生態を理解できるようになった」とソレは話す。


このドルマーロキオン・ラトウリ復元は、歯、顎、足首の骨を含む発掘された化石を示す。
Credit: Art by Charlène Letenneur (MNHN) and Pascale Golinvaux (RBINS).


新しい標本は250点以上の歯と足首の骨を含む。歯がたくさん見つかったおかげでドルマーロキオンの歯列全体の記載が可能になった。以前の発見では2本の上顎大臼歯しか含まれてなかった。新しく見つかった化石には乳歯(「赤ちゃんの歯」)も含まれていた。これらの歯が非常に原始的な外見であり、非常に早期の時代から見つかったという事実は、ドルマーロキオンが食肉類の起源に近いことを示唆する。そしてその起源がヨーロッパにあったこともほのめかす。

足首の骨はドルマーロキオンが樹上棲、すなわち木々のあいだで生活史移動していたことを示す。以前の復元によって5500万年前のドルマールの環境は温暖で、湿潤で、森林領域であったと推測されている。これは暁新世/始新世境界温暖化極大(PETM)と呼ばれるイベントのすぐあとの時代だ。この極めて温暖な時期は食肉類を含む多くの哺乳類グループの進化に影響した。ソレ博士はドルマーロキオンが樹上棲であり、おおよそこの時代に食肉類が北アメリカに進出したという事実は、「PETMのあいだ高緯度に連続的な常緑樹林帯が存在したことを支持する」と考えている。


この肉食哺乳類の仮説的系統図(家系図)は食肉類の中のドルマーロキオンの位置と、この食肉類と現生タクサとの関係をを示す。現生食肉類はネコ型亜目(ネコに似た食肉類)とイヌ型亜目(イヌに似た食肉類)に分岐している。
Credit: Art by Charlène Letenneur (MNHN) and Pascale Golinvaux (RBINS).


この化石は食肉類の起源に近いが、もっと早い時期の暁新世にこのグループのさらに原始的な種がいたことを示唆する。
ソレはこう話す。「食肉類の起源の理解は、有胎盤哺乳類の肉食性への適応を復元するのに重要だ。従って、ドルマーロキオンは(白亜紀/暁新世絶滅イベントで)最大の恐竜類が消滅した後の有胎盤哺乳類の進化に関する情報をもたらす。我々の研究は食肉類が始新世最初期に非常に多様化していたことを示し、恐らくそれらが暁新世末期にすでに多様化していたという仮説が立てられる」。これはこの愛される現生グループの起源についての疑問に答えるためにはさらなる化石を見つけないといけないことを意味する。

元記事
EurekAlert!
New fossils shed light on the origins of lions, and tigers, and bears (oh my!)

原論文
Solé, F., R. Smith, T. Coillot, E. De Bast, T. Smith. 2014.
Dental and tarsal anatomy of ‘Miacis’ latouri and a phylogenetic analysis of the earliest carnivoraforms (Mammalia, Carnivoramorpha).
Journal of Vertebrate Paleontology 34(1): 1-21.

(訳註。文中で'carnivoraformes'を「食肉類」、'carnivorans'を「現生食肉類」と訳した。'carnivoraformes'は現生食肉目'Carnivora'と絶滅した側系統の「ミアキス上科」を合わせた分類群で、ヴィヴェラヴス科より現生食肉目に近縁な全ての哺乳類として定義される。表題の「ライオンにトラにクマ(まあ大変!)」はオズの魔法使いに出てくる言い回しである。)

大昔の海棲爬虫類の配色

大昔の海の生き物の本当の色



Sid Perkins

8 January 2014 1:00 pm


Stefan Sølberg
総天然色。オサガメ類のエオスファルギス・ブレイネリ(Eosphargis breineri、上)、魚竜類(中)、モササウルス類(下)などの、大昔の一部の海棲爬虫類は現在の海の生き物と似た配色をしていたことが新しい化石の研究から分かった。


すこしイルカに似た外見だが、尖った歯がびっしり生えた長くて細い鼻先を持つ魚竜類の一種は、全身を覆う濃い色素のおかげでジュラ紀の海の濁った深海ではほとんど見えなかった。これは恐竜時代の最中またはすぐ後に生きていた海の生き物の色をはじめて垣間見せてくれる新しい研究の結論の一つである。

新しい研究結果は「素晴らしい、かっこいい」とナトゥラリス生物多様性センター(オランダ、ライデン)の古脊椎動物学者、アンネ・シュルプ(Anne Schulp)は話す。彼はこの研究に関わっていない。「これは骨をはるかに超えた古生物学で、[チームの]主張はまったくそのとおりだ」

軟組織は化石記録に保存されることは少ない。その結果、大昔の生き物がどのような外見だったか――とくにどのような色であったか――の解決は推測に頼らざるをえなかった。しかし近年、科学者たちは化石の周りの岩石にある軟組織の化学的痕跡をマップするハイテクな手法を発展させ、色素の残存を可視化できるようになった――ほぼ文字通り先史時代の色を再現している。これまでの努力のほとんどは化石鳥類とその羽に保存された痕跡に集中していた、とルンド大学(スウェーデン)の古脊椎動物学者、ヨハン・リンドグレン(Johan Lindgren)は話す。彼と共同研究者たちはそれらの技術を使って大昔の海棲爬虫類の化石を分析した。

彼らの研究では、3セットの異なった時代の遠く離れた生き物の化石(現在デンマーク、イングランド、テキサス州の博物館に保管されている)を調べた。3つの動物は約5500万年前に棲息していたオサガメ類、約8600万年前に棲息していたモササウルス類と呼ばれる大型捕食動物、1億9000万年前から1億9600万年前の間に海を泳いでいた魚竜類である。(これらの生き物それぞれの祖先はかつて陸上に棲息していたため、3種はすべて空気呼吸動物である。)3つの化石すべてで、軟組織の輪郭がぼんやりとした黒い物質として周囲の岩石に保存されていた。古生物学者たちは長らくそのようなフィルムは炭素に富んだ組織の残骸に過ぎないと推測してきた、とリンドグレンは話す。しかしそれらの物質を走査型電子顕微鏡で見ると、長さ0.5から0.8マイクロメートルの小さなラグビーボール形の構造が厚い層を作っているのが明らかになった。これらの小さな点は現在のトカゲの肌と鱗や鳥類の羽に見られる色素が持つ構造(メラノソームと呼ばれる)と大きさも形も同じだ。それらの卵形の形状はこの色素が黒であったことを示す。赤や黄色を加えるメラノソームは球形であることが多い、とリンドグレンは言う。

チームが化石に荷電粒子を撃ち込んで表面から弾き出された粒子を分析すると(飛行時間型二次イオン質量分析法と呼ばれる技術)、一般的に肌や羽に黒や茶色を加える色素であるユーメラニンが化学的に同定された。保存された組織の周囲の岩石は炭素に富んだ化合物を含んでおらず、保存された軟組織に由来する残存化学物質が大昔の堆積物でないことをさらに示す、とチームは今日ネイチャー誌(Nature)にオンラインで報告した。研究者たちが見つけたメラノソームの濃度を考えると、その動物が最終的に保存されなかった他の色素を持っていたとしても、色素を帯びた領域は濃い灰色か黒であった可能性が高い。

化石における全体の色素パターンは現在の海の生き物と非常に似ている、と研究者たちは言う。オサガメ類とモササウルス類では、色素は動物の体の上側表面に集中していた。研究によるとこのカウンターシェイディングと呼ばれる上側が濃くて下側が薄い配色は、カムフラージュを与えるのに役立つ、とリンドグレンは話す。上から光を照らされて(動物が通常の姿勢で泳いでいるときにそうなるだろう)横から見られるとき、薄い下側は影になり、その生物が背景へと溶け込むのに役立つ。これらの生き物は空気呼吸動物であるため、かなりの量の時間を海面か浅海の、海のなかでも光がよく当たる部分で過ごしたと思われる。

しかし魚竜類はその体の全体を覆うように濃い色素を持っていた。それは現代の海の生き物のあいで普通ではないが知られていないわけではない、とリンドグレンは話す。マッコウクジラも同様に全身が濃い――この恐しい捕食者が餌を探す場所である、もの暗い深海で隠れるのを助ける配色だ。

色素は他の目的も果たしていたと考えられる。とくに暗い上側は、オサガメなどの現生の海棲爬虫類が海面で日光浴をしているあいだに光を吸収するのを助ける。それは生き物の体温を上昇させ、成長を速くしたり冷たい水中でより長い時間餌を探し回ったりできるようにする。

チームの研究は「非常に面白く、簡単なことではない」とブリストル大学(英国)の古生物学者、マイク・ベントン(Mike Benton)は話す。「数年前、人びとは大昔の生き物の色がどんなであったかを語ることは不可能だと言っていた」と彼は言う。「だがこの通りやってのけた」

元記事
Science NOW
The True Color of Ancient Sea Creatures
Sid Perkins, 8 January 2014 1:00 pm

原論文
Johan Lindgren, Peter Sjövall, Ryan M. Carney, Per Uvdal, Johan A. Gren, Gareth Dyke, Bo Pagh Schultz, Matthew D. Shawkey, Kenneth R. Barnes & Michael J. Polcyn
Skin pigmentation provides evidence of convergent melanism in extinct marine reptiles
Nature (2014) Published online 08 January 2014
doi:10.1038/nature12899

石炭紀のサメの産卵場化石

大昔の奇怪なヘラ状のクチバシをもつサメの産卵場が発見された



By Tia Ghose, Staff Writer | January 08, 2014 11:13am ET


メゾンクリーク(イリノイ州)の化石堆積物で発見された3億1000万年前のサメ、バンドリンガの復元図。
Credit: Painting by John Megahan, University of Michigan.


衝撃的に保存状態の良い奇怪な長い鼻先をもつ赤ちゃんザメ――同じ種の卵殻も――は大昔のサメの産卵場についての最古の信頼できる証拠になるだろう。

この化石の年代は約3億1000万年前だ。

ドイツで見つかった卵殻についての未発表の研究のなかで、古生物学者たちは約3億3000万年前の大昔の別種のサメの産卵場が存在したことを推定しているが、「これは卵と化石化した仔魚が同じ場所にあり、サメの産卵場であったことを示すはじめての例だ」と研究の共著者でミシガン大学(アナーバー)の古生物学者、ローレン・サラン(Lauren Sallan)は話した。

新しい研究は火曜日(1月7日)にJournal of Vertebrate Paleontology誌に詳述された。研究はこれほど古い時代にさかのぼっても、バンドリンガ(Bandringa)と呼ばれるサメが産卵のために回遊していたことを明らかにした。

本研究は電気受容体が点在する長い鼻先と棘がある頭部と頰を含む、この風変わりな生き物の解剖学についての新しい詳細も明らかにした。

知られている実体

バンドリンガの化石はメゾンクリーク(イリノイ州)にある炭鉱で1969年に発見された。この原始的サメ類――長くてヘラ状の鼻先を持つ――は長さ4~6インチ(10~15センチメートル)の赤ちゃんとして生まれてきて、全長約10フィート(3メートル)になるまで成長する。


メゾンクリーク(イリノイ州)の海洋堆積物で発見されたバンリンガザメの稚魚が残した印象化石。
Credit: Lauren Sallan and Michael Coates


その後、研究者たちは他の多くのメゾンクリークの標本とはいくぶん違った外見の化石を発見し、バンドリンガ属の2つの異なった種であると結論づけた。

しかしサランと共著者のシカゴ大学の生物学者、マイケル・コーツ(Michael Coates)は博物館コレクションに立ち戻って24点の化石を見直した。そしてこれらのサメ化石の全てが同じ種であるが、海洋からのサンプルは骨を保存する一方で、淡水からのサンプルは何組織と軟骨を保存していて、そのためにいくぶん違って見えていることを彼女らは見いだした。

回遊行動

卵と仔魚はメゾンクリークの産地でしか見つかっていないが、若いサメはオハイオ州の川の上流で見つかっていて、完全に成育したサメはペンシルヴェニア州で見つかっていた。

新しい情報はこのサメが異なった場所で異なった生活フェーズを過ごしていたことを示唆する、とサランは話した。

約3億年前、現在の米国中西部をなすこの地域の大部分を大きな内海が覆っていた。これらのサメ類は、現在のイリノイ州で、海岸線に沿って卵を産み、仔魚が成熟するとそれぞれの河川ネットワークを通ってもっと東にあった巨大な淡水盆地へと遡上した、と彼女は話した。

新しい解剖学的特徴

標本の一部にウロコのある肌や黒目に色素が保存されていた、とサランは話した。

何組織と骨の両方に見られる詳細を組み合わせて、チームはこの奇妙な生き物の解剖学についての新しい詳細を知ることができた。

「この巨大な、針のような棘が頭の上部と頰にあり」、その上に棲息する他の捕食者に対しての防御だったのだろう、と彼女はLiveScienceに語った。

新しい研究はバンドリンガの鼻先に小さな受容体が点在していたことも明らかにした。この水底食者はこれらの受容体を使って濁った沿岸の水にいる獲物の電気活動を感知した。そして掃除機のような口を使ってその獲物を吸い上げたことが研究から分かった。

まだ証明されてない

交尾した状態で固まった昆虫類などの例を除いて、大昔に死に絶えた種の行動を推測するのは非常に難しい。

しかし今回の注意深い研究が「これらの岩が3億年前のサメの産卵場を保存しているという仮説を支持する信頼できる証拠」もたらした、とライセスター大学(イングランド)の古生物学者、マーク・パーネル(Mark Purnell)はeメールに書いた。彼はこの研究に関わっていない。

しかし誰もがこの研究結果が産卵場とサメの回遊の証拠であると完全には信じてはいない。

「主張は適切に提示されているが、それらは慎重に扱われなくてはならない」とアメリカ自然史博物館(ニューヨーク)の古生物学者、ジョン・メイジー(John Maisey)は話した。彼もこの研究に関わっていない。

たとえば、すべての時代のサメ類がこれらの環境すべてに棲息していたが、特定の環境が単に赤ちゃん動物の軟組織をよりよく保存して、他の環境は成体の全身を保存しやすかったというだけかも知れない、とメイジーは話した。

元記事
LiveScience
Ancient Nursery of Bizarre Spoon-Billed Sharks Discovered
Tia Ghose, January 08, 2014 11:13am ET

原論文
Lauren Cole Sallan & Michael I. Coates
The long-rostrumed elasmobranch Bandringa Zangerl, 1969, and taphonomy within a Carboniferous shark nursery
Journal of Vertebrate Paleontology Volume 34, Issue 1, 2014 pages 22-33
DOI: 10.1080/02724634.2013.782875

島の動物は警戒心が弱い

島は動物を従順にする



トカゲの研究は捕食者の不在が警戒心をなくさせるというダーウィンの直感を支持する。

Ed Yong

08 January 2014


Matt Moyer/National Geographic/Getty
ガラパゴス国立公園のウミイグアナ(Amblyrhynchus cristatus)は旅行者が近くを歩いても穏やかに休んでいる――捕食者不在のためと思われる行動だ。


チャールズ・ダーウィンがガラパゴス諸島を訪れたとき、そこに棲息する動物の多くが人を恐れないので「ここでは銃はほとんどなくてもよい」と記した。彼は鳥を帽子ではたき、イグアナの尻尾を引っ張り、ゾウガメの上に座った。

これらのおふざけから、動物は捕食者のいない離島に棲息すると従順になるという彼の有名な考えが育った。インディアナ大学-パデュー大学フォートウェイン校のウィリアム・クーパー・ジュニア(William Cooper Jr)はダーウィンの仮説を世界中からの66種のトカゲでテストし、島嶼棲の種は大陸の近縁種より従順である傾向があることを見いだした――この古典的考えのこれまででもっとも強力な証拠だ。この研究結果はProceedings of the Royal Society B誌の今週号に発表された。

数件の研究と未発表の報告は捕食者の少ない島嶼では特定の種に接近しやすいが、野良ネコなどの移入ハンターが含まれる島嶼では素早く逃げられやすいことを示していた。しかしこの島嶼従順性について逸話的な証拠ばかりだったにもかかわらず、「それがあらゆるグループで一般的な現象であることを立証した人はいなかった」とクーパーは話す。「我々は大型の被捕食者グループ――トカゲ――では、本当に島嶼で警戒心の大きな減少があることを示した」

少数者馴らし
「島嶼従順性は古い考えだが、それのテストは少ない」とカリフォルニア大学ロサンジェルス校の行動生物学者、ダン・ブラムスティーン(Dan Blumstein)は話す。「これはトカゲにおける島嶼従順性のいくつかの馴らし役を示す必要な論文だ」

クーパーと共同研究者たちは過去の研究を漁って研究者が近づいたときにトカゲが逃げ出す距離についてのデータを集めた。彼らは保守的なアプローチを採り、研究者がトカゲを指さしたり、動物に向かってある一定の速度より速くまたは遅く歩いたり、ヒトに慣れた個体群を研究していた場合を除外した。

クーパーらのチームは最終的にコモチカナヘビ(Zootoca vivipara)からガラパゴスウミイグアナ(Amblyrhynchus cristatus)にいたるまで66種のデータを集めた。結果は本土に棲息するトカゲより島嶼棲のトカゲのほうがヒトが近づけることと、島が本土から離れれば離れるほどトカゲは接近しやすくなることを明白に示した。

島の生態系はとても影響力があるため進化史のあらゆる効果を上書きしてしまう、とクーパーと共著者たちは話す。近縁なトカゲ種であっても生息地によって異なる逃避行動をとっていることと、その進化的関係はもっとも影響力が少ないことも示した。

この研究結果は島のトカゲが本土のものより従順である理由を説明していないが、島の捕食者が相対的に少ないことがもっともありそうな理由である。神経質な気質の動物は価値ある資源をむだにあきらめる可能性があるが、捕食者が稀またはいなかったら自然選択はそのような応答が淘汰されると予測する。

クーパーはこの考えをテストしたいと思っているが、違った島にいる捕食者の数、密度、タイプについての適正なデータを得るのは難しいと話す。

元記事
Nature News
Islands make animals tamer
Ed Yong, 08 January 2014
Nature doi:10.1038/nature.2014.14462

原論文
William E. Cooper Jr, R. Alexander Pyron and Theodore Garland Jr
Island tameness: living on islands reduces flight initiation distance
Proc. R. Soc. B 22 February 2014 vol. 281 no. 1777 20133019
Published 8 January 2014 doi: 10.1098/rspb.2013.3019
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